イタリア映画の森/フェリーニ

 
目 次
1.はじめに
2.映画の魔術師「フェデリコ・フェリーニ」
3.フェリーニのイントレビスタ
4.旅の情報:イタリアのコロナ対策
5.あとがき

1.はじめに

 イタリア映画は、ハリウッドの娯楽作品と一線を画し、素晴らしい作品が次から次に生み出されています。そのため根強いファンが今でも多く存在します。私の好きな映画をあげると、「イル・ポスティーノ」「ひまわり」「ライフ・イズ・ビューティフル」「ニュー・シネマ・パラダイス」「道」「グランブルー」、また亡命したロシアの映画監督タルコフスキーがトスカーナで撮影した「ノスタルジア」も好きな作品の一つです。でもやはりなんといってもフェデリコ・フェリーニ監督の「甘い生活」(ドルチエ・ヴィータ)で、ローマのトレヴィの泉に飛び込んで、マストロヤンニとアニタ・エグバーグが抱き合う強烈なシーンは忘れることができません。
 
 ちなみに戦時下の苦しい生活の中で、フェリーニは、似顔絵で生計を立てていたとのことです。なんとなく弊社きっての芸術家・山根みどりさんのことを思い出してしまいました。今度山根さんに似顔絵を描いてもらうようにします。

2.映画の魔術師「フェデリコ・フェリーニ」

 イタリア映画を語る時に欠かせないのが、フェデリコ・フェリーニです。イタリアのネオ・レアリスモの正統派の監督で、その原点には脚本を担当したロベルト・ロッセリーニ監督の「無防備都市」があったと言われています。主な作品としては、古い順で「道」(1954)、「甘い生活」(1960)、「8 1/2」(1963)、「魂のジュリエッタ」(1964)、「サテリコン」(1968)、「ローマ」(1972)、「カサノバ」(1976)、「ジンジャーとフレッド」(1985)があります。
 
 奥さんは女優のジュリエッタ・マシーナで知り合った頃はまだ無名でしたが、フェリーニの数多くの映画に出演して、世に知られるようになりました。個人的には「道」で演じた貧しい大道芸人のジェルソミーナ役が最もハマり役だったのではないかと思っています。その可憐な姿は今でも頭の中に残っています。ジュリエッタ・マシーナは「ジンジャーとフレッド」にも出演していますが、実はよく覚えていません。可憐なイメージを壊さない方が良いのかもしれません。
 「甘い生活」あたりから、作風がネオレアリスモから離れ、重層的でシンボルを多用してイメージの無限の広がりを見せる撮影手法に変化していきました。これにより、独特の境地に到達したと考えられ、映画の魔術師と呼ばれるようになります。1993年に73歳で亡くなりますが、その葬儀は、ローマのサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会において、国葬で執り行われました。また、映画の都ローマのチネチッタと故郷のリミニでも執り行われ、リミニの墓地に埋葬されています。まさにイタリアの誇りで、英雄だと言えるでしょう。

3.フェリーニのイントレビスタ

 フェリーニのイントレビスタ(インタビュー)は、日本人のジャーナリストが、フェリーニにインタビューする形式で物語が進む、独特の映画です。この映画は、弊社のことを抜きには、語ることができません。この映画に日本人撮影クルーとして出演したのが、弊社の創業者で今は亡き印出清明なのです。当時は、弊社の前身であるマンデオンビデオプロダクション(MVP)として参加していました。髭面のカメラマンで、すごく特徴ある姿で映っています。ヴィデオカメラにはMVPのマークがしっかりとつけられています。この映画では、印出清明の他にも、当時の奥さんのスエーデン人ビベッケさん(現在は日本語翻訳家としてスエーデンで活躍中)も端役で出演するなど、弊社スタッフ総動員でした。この映画はローマの映画都市チネチッタ創立50周年を記念して、フェリーニが自身の映画の思い出と、映画への思いを語った作品です。
 私はこの映画の中で、マルチェロ・マストロヤンニが思いついて、アニタ・エグバーグを訪問するシーンが最も秀逸と考えています。今やかつての美貌の見る影もない姿となったエグバーグを当時と変わらぬ態度で扱う、マストロヤンニはさすがイタリアの伊達男と言えるものです。その態度に促されるように、目を輝かせてトレビの泉のシーンを語り始めるエグバーグ。夢か幻か、作り物なのか現実なのかわからない世界に、観るものを引きずり込みます。まさに映像の魔術師と言えるものです。
 
 私は今でも疲れた時に、このシーンを眺めて印出君に会って涙しています。フェリーニってとても素晴らしいです。そしてイタリアも。。。。

4.イタリアのコロナ対策

 コロナの変異株・オミクロン株が流行するようになって、感染者数は減っていませんが、イタリアのコロナウィルスでの死者は劇的に減っています。そのため、これまで公共の場で着用が求められていたマスク着用も、求められなくなっています。ローマの街を歩く人たちも、一時期に比べ、マスク着用率が低下しています。これまでの厳しい規制が大幅に緩和されているのです。EU諸国からの入国にあたっての待機期間も、無くなっています。現地の観光関係のビジネスをしている方たちは、もう一息だとコロナ規制の完全解除に期待を寄せています。
 
 残念ながらオミクロン株の感染が広がる日本では、毒性の低いオミクロン株への対応がスムーズに行われていません。最近、日本政府は入国時の待機期間を短縮しました。それでも先進国の中で最も長いことから、海外在留邦人には大変不評です。とはいうものの、これまで帰国を我慢していたイタリア在住の日本人は、一時帰国しようとする人が増えています。もうあと一息です。

5.あとがき

  イタリア映画の話をしていると、ローマのトレヴィの泉に飛び込んで、抱き合う強烈なシーンは忘れることができません。その男性俳優がマルチェロ・マストロヤンニなのです。とにかく格好良い。歳をとっての「マカロニ」や「プレタポルテ」でも、歳と共にどのように格好良く生きるかを、体現してくれています。数多くの女優さんたちと浮名を流していますが、「生涯で愛したのは、アニタ・エグバーグとカトリーヌ・ドヌーブだけ」とフェリーニのイントレビスタ(インタビュー)で出演した、おデブになったアニタ・エグバーグを称えます。本当にマストロヤンニには、教えられます。次回は、イタリア映画の森「マルチェロ・マストロヤンニ」とローマ文明を感じる旅をご紹介します。
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