メールマガジン"ローマから吹く風"第28号
ルネサンスのローマ/喜劇俳優トト


ベルベデーレのトルソ
 
目 次
1.はじめに ローマッ子の心のふるさとトラステヴェレ
2.ルネサンスのローマ
3.イタリアの英雄2 喜劇俳優トト
4.旅の情報:ヴェネチア教会でのヴィバルディのコンサート
5.あとがき

1.はじめに

ローマはいつものように暑い夏を迎えてきています。特に今年は25年ぶりの暑さだと言うことです。トラステヴェレとは、「テヴェレ川の向こう側」という意味です。モニュメントや遺跡群が点在するテヴェレ川右岸から渡ると、そこはローマの普段の姿が見られる下町エリア「トラステヴェレ」です。石畳の道が迷路のように続く下町トラステヴェレは、気さくなローマらしさを感じることができるエリアです。  別名、” ローマっ子の心のふるさと”です。かしこまったレストランではなく、気軽に立ち寄れるトラットリアが多いエリアでもあります。幻想的にライトアップされる夜の散策もおススメ。夏には屋台の並ぶイベントが開催されています。

2.ルネサンスのローマ

 ルネサンス芸術は、遠近法のような科学的基礎を絵画に与えたことにより、絵画は、立体感と物質感のあるものになり、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロのような芸術家を生み出したと言われています。美術史においてルネサンスの最盛期は、1450年から1527年のローマ略奪迄です。このうち前期はメディチ家の支配するフィレンツェで、後期は教皇をパトロンとしたローマで展開されました。ヨーロッパにおいて神聖ローマ帝国の権力が落ちてバチカンを中心にした教皇の政治力が上がった時期でもあります。政治の中心がローマになり、また、イタリアがヨーロッパの文化の中心になりました。
 
 ルネッサンスはイタリア語で「リナシメント」、RINASCIMENTOです。複合語でRIは再び、NASCIMENTOは生まれるという意味の動詞NASCEREの名詞形です。つまり、「再び生まれる」。 何が再び生まれたのかと言うと、「人間性」です。再び生まれたからにはすでにあったわけですが、どこにあったのでしょう。それは古代ローマにほかなりません。ルネッサンスの芸術家達はこぞって古代ローマ美術に範を求めました。
 千年もの間、平面的で人間性を欠いたビザンチン美術を見慣れた目に、当時は地方であったローマだったからこそ残っていた数々の遺跡にあったリアルな彫刻群やフレスコ画を見た芸術家の感動を想像すると、そのことが感動を呼びます。人間回帰の機運が高まるわけですが、ただし、表向きは神の権威は絶対ですから、興味の中心を人間に移した偉大な芸術家達は自分たちの作品の中に人間への興味、そこから来た探求、探求の結果の科学的知識を隠しました。隠したものを発見していくのもルネッサンス美術を見る上での楽しみでもあります。
 
 ローマがルネサンスを語るにふさわしいのは、ローマが最盛期のルネサンスの中心であり、街がある時代に限られず、ルネサンスが目標とした古代ローマから近代までの建物や作品が残り、歴史の流れの中に身を置くことができるからです。これがルネサンスをローマで見る大きな特徴となっています。
 詳しくは→http://www.ivc-net.co.jp/guide/rome/renaissance.html

3.イタリアの英雄2 喜劇俳優トト

本名アントニオ デ クルティス、通称トトはイタリア喜劇の象徴的な俳優であり、キートン、チャップリン、マルクス兄弟と並んで有名で「爆笑の王子」と呼ばれたていました。また喜劇のみならず映画及び舞台俳優としても重要な一人としてみなされており、20世紀を代表するイタリアのアーティストにあげられています。
 
 50年にも及ぶキャリアを持ち、50本以上の演劇、100本以上の映画に出演し、さらにその多くで主役を演じています。最後は必ずしっぺ返しを食うのが定番のオチです。今でもトトの映画はテレビ等で放映されており、イタリアで走らないもの外内ぐらい有名な喜劇俳優です。1898年にナポリで生まれ、生涯ナポリで暮らしたトトは、ナポリでは特に絶大な人気を今でももっています。
 トト演技のなかで、手を使ってスパゲッティやピッツァを美味しそうに食べる仕草は、大衆の笑いを誘う十八番の演技でした。このようなことから食堂の壁にトトの写真を飾っているお店が幾つもイタリアにはあります。こんなトトもイタリアの英雄の一人として数えられているところがイタリアらしいではありませんか。

4.旅の情報:ヴェネチア教会でのヴィバルディのコンサート

   ヴァイオリン協奏曲「四季」で世界的に知られるヴィバルディは、ヴェネチアの教会の司祭でした。ヴィバルディは司祭として活動するかたわら、教会付属のピエタ慈善院の音楽院でヴァイオリンの教師を務めていました。このことにちなんでアカデミア橋に程近いサン・ヴィダル教会ではヴェネチア室内合奏団によって小規模のコンサートが開催されています。演目は「四季」などクラッシック好きの方ならばご存知の曲目が選ばれており、親しみやすいものです。周囲にはヴィバルディのゆかりの場所が残っており、当時をしのびながら伝統ある教会の中で聞くコンサートは、ここでしか味わえないものです。このコンサートは夏のヴァカンスの時期も開催していますので、ヴェネチアを訪問される際には体験されては如何でしょうか。

5.あとがき

 イタリアではマクドナルドのローマ店開店にあたって、伝統的な食文化を維持すべきではないかとの議論がおこり、スローフード運動が開始されました。食文化の議論は更に発展して、効率性と利益ばかり追求するのではなく、伝統的な食文化を維持するために必要な持続可能な環境社会を目指すべきであるという考え方につながりました。この結果イタリアで生まれたのがCitta Slow・スローシティ運動です。次回はイタリアのスローシティをご紹介します。
 
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