メールマガジン“ローマから吹く風”第11号:
アマルフィーの”ゴージャスな宝石”陶器の街・ヴィエトリ/聖なる年

 
目 次
1.はじめに 中華帝国の侵略
2.アマルフィーの”ゴージャスな宝石”陶器の街・ヴィエトリ
3.お薦めの陶器屋さんCeramica Pinto
4.鎮魂ポンペイ
5.旅の情報 聖なる年
6.あとがき ナポリの朝食

1.はじめに 中華帝国の侵略


 日本でも中国人の爆買いが有名になっていますが、イタリアでも各地で中国人が席巻しています。まず,庶民の味方となるマーケットの安い衣料品は、すべて中国製です。中国製だと、売れ行きが悪い事から、ヨーロッパブランドの生産地フィレンツェでは、中国人の金持ちが、工場を買い取り、品質の劣る安いメードインイタリーの衣料品を生産しています。ベネチアングラスは、高級品以外は中国製に変わっています。イタリアでも人気のすし屋さんは、ほとんどが中国人の経営です。そして、ミラノのブランドショップでは、セールの広告を出さなくなりました。セールの広告を出すと、店が中国人であふれて、店の雰囲気を壊すのだそうです。恐るべし、中華帝国。


2.アマルフィーの”ゴージャスな宝石”陶器の街・ヴィエトリ

マンガ学校
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マンガ学校

 アマルフィー海岸の東端にあるヴィエトリは、時刻と気象によってオレンジ、緑、赤、深い青などに変化する紺碧の海を持ち、町中がカラフルな陶器であふれていることから、アマルフィーの”ゴージャスな宝石”にたとえられた美しい街です。この街は、15世紀から地中海貿易の拠点として陶器を生産してきました。町中がカラフルな陶器であふれ、街歩きすると発見の連続です。いまでもここから国際的なアーチストが生まれ、ヴィエトリの名前を世界に高めています。

 ヴィエトリはナポリから車で1時間、アマルフィ海岸の終点となるサレルノからも程近い小さな町です。ヴィエトリの語源は「海の上のガラス」という意味です。ヴィエトリの街を散歩して気がつくのは、陶器の店が多いことばかりではありません。名前の通り、街のあちこちに手描き、手作り陶器による看板や標識、ベンチなどがあり、歩いていて何とも楽しい雰囲気です。

 駐車場で車を降りると、駐車場を囲む柵には、壼と青い色した陶器のロバさんが乗っている(この意味不明)。それだけではない。駐車場の一角に置かれた四角い陶器の芸術品?。なんと水飲み場。漁師さんが網を使って魚穫りする背景画。その下の水飲みのボウルは、タコさんが泳いでいる。これを支える台には人魚が2人(匹?)。街の花壇やベンチも、もちろん陶器作り。街角の装飾は、ヴィエトリの街の風景を陶器にしたもの。そう言えば、この教会はどこかに…あった!街のまん中に陶器張りした教会の丸屋根が見えました。

 このヴィエトリの伝統的な柄はソリメーナ社のマークにもなっている鳥がデザインされたものです。街の外れにある、ヴィエトリ最大のセラミック工場ソリメーナの外観は、ガラス張りと陶器張りが組合わさった、ウルトラモダン。未来のユネスコ世界遺産候補なのです。

陶器の街・ヴィエトリ訪問→http://www.ivc-net.co.jp/cult/kaze/248.html

3.お薦めの陶器屋さんCeramica Pinto


マンガ学校
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マンガ学校
 ヴィエトリでは、陶器攻めに遭い、参りました!と頭をたれつつ否が応でも陶器屋さん散策となるのでした。Vietriは陶器の町。陶器の町だから陶器屋さんだらけ。数ある店を覗いていくと、始めはどこも同じように見えていた陶器の風格とか品格の違いを感じてくるようになってきます。伝統工芸を模した大量生産品は、やや品格に欠けます。安いけど。モダンアートのような陶器は、私はあまり気に入りませんでした。

 一番気に入ったのはここ、Ceramica Pinto

 かなりの大型店で、床タイルや壁タイルの大型注文も受けつけるとのこと。フローラルで若干の東洋趣向が入った古典柄で色味の品が良く、模様が繊細。?店主らしき人に聞いたら、伝統技術を継承していくのが店(工房)のモットーとのことでした。

 この店が気に入ったので、日本からのリクエストがあったヴィエトリの壼は、Pinto工房で購入。これを何に使うのか判らない。でもバブルの頃は、こんな壼がイタリアン・デザインのリゾートマンションから大量注文があったとのこと。恐るべし、ニッポン。

 店の表の飾りは、ポンペイの遺跡で有名な「猛犬に注意」のタイルに出てくる犬です。ベネツィアのガラスも同様、観光客が記念に買うには熟練した職人が作った「本物」はチョと高い。結局、大量生産品があちこちへばら撒かれることになります。それだけ見ていると、それはそれでよく見えてきます。ベネツィアの屋台のものはほぼ中国製とのこと。安さが一番ということで、中国の侵略はミラノの高級ブランドショップから、朝市の衣料品店まで広がっています。ヴィエトリの陶器は、まだ中国製に侵されてないだけマシともいえます。イタリアさん、イタリアを無くさないでーー、と念じつつヴィエトリを後にしました。

Ceramica Pinto
住所:C.so Umberto I, 31 84019 Vietri Sul Mare (SA)
Telefono:+39 (0) 89 210271 Fax:+39 (0) 89 212299

ヴィエトリの陶器屋さん→http://www.ivc-net.co.jp/cult/kaze/249.html

4.鎮魂ポンペイ


マンガ学校
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 火山灰に覆われて滅びたポンペイ。灰は時を経て固まり、中に閉じ込められた有機物は腐敗して空洞を残した。 その空洞にチューブを何本も挿し、セメントを流し込んでそこにあったものを再現した。。。

 仰向けに倒れて窒息死した奴隷。腰に巻いているベルトの跡から奴隷と推測された。頭のアップ。歯と頭蓋骨が見える。これは空洞ではなく本物。

 うつ伏せに倒れた婦人。お腹が膨らんでいる。これは妊婦と想定される。
 しゃがんだ人。鼻と口を抑えている様子がありありと分かる。ポンペイの被害者は灰に埋もれてしまう前に、火山灰から出るガスによって窒息したらしい。

 ベスビオは休火山。ポンペイ遺跡の頃に比べて火山や地震の研究が進んでいる。でも、山の麓にびっしりと建てられた家を見ると、科学が救えることに限りを作る行政…という思いが強くなる。ポンペイ遺跡で埋まった人を見ると、鎮魂の思いにかられます。

鎮魂ポンペイは→http://www.ivc-net.co.jp/cult/kaze/261.html




5.旅の情報 聖なる年

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  聖なる年(Anno Santo, Giubileo)とは、西暦1300年に始まったカトリックの行事です。この年にローマに巡礼すると特別な赦しを与えられるとされます。今回の聖年は、新教皇の選出から2年を経過したとのことで開催される「いつくしみの特別聖年」と呼ばれ、2015年12月8日から始まり、2016年11月20日まで続きます。昔は50年に一度でしたが、現在は、特別聖年を除き、25年に一度となっており、カソリックの信者や巡礼者が大挙ローマを訪れます。
 聖年の年には、普段は閉じられているバチカン4大バジリカ(サンピエトロ大聖堂、サンパオロ大聖堂、サンジョヴァンニ大聖堂、サンタマリア・マッジョーレ大聖堂)の聖年の扉が開かれ、ここをくぐるのが巡礼者のお決まりとなっています。くぐった巡礼者にはラテン語の証明書が発行されます。
 数十年に一度のカトリックの行事「聖年」には、世界中から多数の巡礼者がローマを訪れ、信者ではない観光客にとっても、通常は閉まっている聖年の扉が 開いたり、記念品やコインが発売されたりしており、カソリックの信者や巡礼者に混じって、その神聖な雰囲気を感じることができます。その一方で、教会が大混雑し、宿もとりにくくなって、観光に支障が出ることも多いようなので、注意が必要です。またあまり芳しいことではないのですが、この聖年を狙ってスリや盗難が続発しているようです。

6.あとがき ナポリの朝食


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 アマルフィへ行くのに、太陽高速道路 A1を南下する。家を出る前に当然朝ごはんを食べてきてるが、所詮イタリア式の簡単朝食。1時間も経つと小腹が空いてくる。SFOGLIATELLA、スフォリアテッラという、ナポリ独特のお菓子。これを食べずして、太陽道路A1をナポリへ向かう意味が無い!薄く伸ばしたパイ生地を少しづつずらしながら何重にも巻いて貝の形を作る。中にはリコッタチーズのクリームが入っている。ここのスフォリアテッラは、そうであるべき姿だった。皮がパリパリと香ばしく、食べるたびにかけらがコートに降り注ぎ、クリームはリコッタもどきではなく、ちゃんとミルクの味がするクリーム。プレハブの店だけど、コーヒーも濃い味で表面にクリーム状になった泡が乗ったナポリ式エスプレッソでコーヒー好きを満足させてくれました。  

 次回は久々にローマに戻り、ルネサンスの華、ミケランジェロのローマを報告します。

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 ナポリの朝食は→こちらから

7.メールマガジン「クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)」の発行


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 日本に伝えられ、普及しているイタリア料理や食材は、食物検疫のハードルがあり、まだイタリアの"食"の氷山の一角にしか過ぎません。豊かな自然に囲まれたイタリアは、地方ごとに様々な食材があり、おいしい料理があります。クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)のメールマガジンは、そんな奥の深いイタリア料理や日本ではあまり知られていない食材、日本で手に入る食材などイタリアの”食”についてご紹介し、一緒に味わっていただくものです。

<クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)>
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