食文化としてのナポリピッツァ(考察)

 ナポリのピッツァスクールの関係上、日本でピッツァ職人をしている方や、お店を開設しようとしている方とお話しする機会が多いです。そうしているプロとアマの違い、日本とイタリアの違い、イタリア料理の食についての考え方にたどりつきます。そこでピッツァを作ったり、食べたりするときの参考にイタリアの食文化としてのピッツァをまとめてみました。

1.ナポリ生まれのピッツァ
 ナポリで生まれたピッツァは、屋台で売る庶民の食べ物で、1700年以前は質素なケーキまたはロールパンのようなものと考えられていました。これに港で余った魚をのせたりして、美味しく食べる工夫が施されたのです。
 多くの専門家はトマトがピッツァの上に加えられ、現在の原型となった1700年頃が、ナポリピッツァの誕生の瞬間であると考えています。このようなことからナポリピッツァは18世紀に誕生したとの考え方が通常取られています。

 


 

 1889年にピッツァにトマトとモッツァレッラ・チーズをのせることによって、現在のピッツァの原型ができ、今日の発展につながっています。これはマルガリータ女王が宮廷の宴会で、料理人にピッツァをお客様に出すよう求めた際のことです。この際に考案したトマトソースとチーズのピッツァが庶民の間で評判となり、女王にちなんで「ピッツァ・マルゲリータ」と名付けました。これがピッツァの基本となり、ピッツェリアならどこにでもあるメニュー「ピッツァ・マルゲリータ」の始まりです。
 
 このような逸話のバックグラウンドには、美味しいものを食べたい、作りたいと思うナポリの庶民がいます。そしてナポリの産み出したピッツァを誇りに思うナポリ人がいます。イタリア人に言わせても、ナポリ人の作るピッツァはどういう訳か美味しいということになるのです。続きは→こちらから