ローマから吹く風




教えたくないフィレンツェのステーキ屋さん

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 フィレンツェといえば「Fiorentina」。サッカーセリエAの「Fiorentina」でなく、「Bistecca Fiorentina」・フィレンツェ風ビーフステーキ、要はTボーンステーキです。写真上は、650gの肉の塊りです。一人でこの塊を食べるのではなく、仲間内で分けて食べるのが普通。


<食は食材と仕込みで決まる!>
 食は食材と仕込みで決まると思うのがお寿司とフィオレンティーナ。まぁ、他の料理もそうかもしれないけれど、言ってしまえば、お寿司とか刺し身って生の魚を切るだけ、ステーキは切り身を焼くだけ。なんたら言うハーブとなんたら言う野菜をよく炒めた上で、ミキサーに掛けて、それを寝かせた後に…などという手間をかけない、ということで、超簡単料理と言えなくもない。
 
 でも、お寿司(生魚)もフィオレンティーナも元の材料の選択が大事。ステーキは牛肉を使うわけだけど、その牛さんがご生前にどんな環境で何を食べていたのかでまず素材の肉の味が違ってくる。そして寿司ネタにするため、刺し身にするために三枚におろし、薄く切り分けて行くように、精肉にするために包丁を使う。その使い方で味に差が出てくる。不思議だが本当だ。
 昔、友人に「東京で一番美味しいお寿司屋さんだと思う」という小さなお寿司屋さんに連れて行ってもらった。「ただ切るだけなんて思っていて済みませんでした」と謝りたくなったくらい美味しかった。その店の経営者でもある寿司職人は三本包丁を持っていた。16寸というのと、小さいのと、中間のもの。小さいのも中間のも実は16寸だったと聞いてびっくり。毎晩、店を閉めた後、丁寧に研ぐのだそうだ。30年研いで16寸は短い包丁になった。まっすぐだった木の柄も手指に合わせてカーブがついていた。15年位のは中間の長さになった…
 
 よい道具と長年の作業で身につけた技で魚の細胞を傷つけずに切り分けるのだ。 精肉も同じ。フィレンツェ名物なので、フィレンツェ中、どのレストランでもフィオレンティーナがメニューにあります。フィレンツェを出てもトスカーナ州の都市ならフィオレンティーナを出す店が多いのです。
  で   も     … フィレンツェのこの店のフィオレンティーナより美味しいフィオレンティーナに出会ったことが無い。

<まず一切れ!>
 
 お決まりの木のお盆に乗ってステーキはやってくる。
 
 この店では岩塩とルゲッタ(ルーコラのローマ式の呼び方)乗せてくるので、ルゲッタ一片と岩塩少々も一緒に取り分けた。
 
 フィオレンティーナは何と言ってもレア。表面に焼き目が着いて中程は生。この火加減も精肉と同じくらい大事。


<Tボーン部分!>
 
 ここも切り取れるだけ切り取って食べた。
 
 (ほぼ)生肉はお腹に溜まらない。総勢6人いたのだけど、大将の「そんなに食べられないでしょ」と店側が持ってきた1キロ200の肉を断ってほぼ半分の650gにしたわけだけど、最初に見せてくれた肉でも十分食べ切れた。
 
 あ、ここでは、最初に給仕さんが人数に合わせて肉の大きさを見繕って焼く前に見せてくれます。 そこで、大きすぎるだの、小さすぎるだの言って好みの量を伝えるわけです。


<この店!>
 ゴシック体で読み取りにくいと思いますが、頑張って読み取って、フィレンツェへ行く機会があったらぜひ予約して行ってみてください。