ローマから吹く風




パレルモのメルカート

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 メルカート(MERCATO)は、要するにマーケット、市場です。普通、イタリアで一般人が「メルカート」と言うと、青空市場のことです。パレルモに独特なものではなくて、イタリアのどの街にもあります。常設の場合(この場合は毎日)と、決まった場所に週の決まった日にだけ仮設の屋台が集まってできるメルカートの二種類があります。
 
 長期バカンスで知らない街に行くと、「この街のメルカートはどこ?何曜日?常設?」と町の人に聞くのが常です。雑貨はどこの街でも顔ぶれにあまり変化はないけれど、食べ物はその土地独特のものがあって、メルカート散策は好奇心を満たすのと暇つぶしに持って来いです。




 
 さて、パレルモには常設のメルカートが三箇所あります。バッラーロ、ヴッチーリア、メルカート・カーポ。
 
 三箇所のうちバッラーロが一番大きく(道の幅が広い)、選んだ食材で調理をしてくれる屋台もあるそうです。ヴッチーリアは一番古く、カーポは小ぢんまり。今回は、半日でパレルモの主な見どころを見なくちゃいけないので、コースの都合からマッシモ劇場から徒歩5分ほどのVia Cappuccinelleにあるメルカート・カーポに行ってきました。
 
 ちなみに「マッシモ劇場」は、世界で三番目の大きさを誇るオペラ劇場です。ゴッドファーザー3でアル・パチーノ演ずるマイケルの娘が正面玄関の階段で射殺されますが、ここでロケが行われました。演目のない日は内部見学ができます。
 
 パレルモのガイドさんがいちいち屋台の品物の説明までしてくれました。 手前にある細長いものは「ズッキーネ・ルンゴ」。そのまんま、「長いズッキーネ」です。普通のズッキーネと同じように調理できます。
 
 その奥の野菜はズッキーネ・ルンゴの葉と蔓。長いズッキーネとその葉と蔓はイタリア長靴半島のかかと部分プーリアでも見たことがあって、気温の高い南イタリアの特産物のようです。ローマのメルカートでは売っていません。



 
 パレルモのメルカートは道の両側に店があって、その店が道に屋台を出しています。当然、道が狭くなり、カスバのような雰囲気になります。
 
 夏の暑い日にお魚をこんなふうに出していて大丈夫かなと心配になりますが、魚の目は新鮮でした。
 
 イタリアの法律では、どこの海で採れたものか値段と一緒に表示することになってますが、まぁ、南イタリアではお固いことは言わないことになってます。
 
 ちなみに数字は当然値段で、1キロのお値段です。
 イカもサーモンも1キロ16ユーロ。約2000円。ローマよりちょっと安い。日本よりちょっと高いかな。


 

 果物か野菜が入っていた木箱です。「SICILIA」の字が見えます。シチリアは、というか、イタリア全土はもともと農業、酪農業が盛んな土地なのですが、欧州連合が発足し、さらにグローバルになってからベルギー産のトマト、中国原産のトマトソース、スペイン産のオレンジ、ギリシャ産のオリーブなどたくさん流通しているので、シチリアのメルカートでシチリア産のものを売っているのを見るとホッとします。
 
 ところで、イタリア全国にメルカートがあり、当然、ローマにもメルカートがあるのですが、なぜ「パレルモのメルカート」がこんなに有名なのかちょっと不思議です。パレルモでは公道を使っているから目につきやすい?ローマはパレルモより大きくて、あちこちにあるメルカートが相対的に小さくなり、いわゆるモニュメントから離れているから観光客は行きにくい?ローマでは観光コースに近い「カンポ・デ・フィオーリ」のメルカートが観光客の口に登りますが、それだけに今やお土産物メルカートと化してしまいました。
 
 パレルモのメルカートは、今でもパレルモっ子が普通に買い物に来る場所で、いきいきしてます。私は食材屋さんでケッパーとオリガノを買いました。ローマで買うと高いんです。