Cucina Italiana

クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第151号

イタリアの元気なスーパーマーケット

はじめに


 イタリアのスーパーマーケットは果物も野菜も山積みにされたものから自分で選んでビニール袋に入れ、計りに乗せて該当する表示のイラストボタンを押して、重さに対する値段が自動的に計算されて出てくるシールを袋に張り付けて買うシステムです。こんなところも日本との違いがあります。
 
 日本ではスーパーマーケットの退潮が著しいです。でもイタリアではスーパーマーケットが客のニーズに合わせた商品開発が進め、元気に活動しています。スーパーが元気なことから、国外からの見学がひきも切らず、最近では見学を制限するスーパーまで出現しています。
 
 このようなことからスーパーマーケットはお土産を買う隠れた人気スポットとなっています。またスーパーが目玉として競い合っているイートインコーナーは、手頃な食事場所としても、注目されています。
 
イタリアの台所ウェブ版
https://www.ivc-net.co.jp/cucina/index.html

 

スーパーの商品開発



 イタリアには地域ごとに独特の農畜産物、魚介類、野禽類、加工食品等、多種多様の食材があることから、イタリアでは地産地消が重視されています。スーパーでは地元産の美味しいものを求める客のニーズに合わせて、安くて新鮮で豊富な品揃えを心がけています。これだけでなく次のような商品開発がイタリアのスーパーの成功につながったと考えられています。
 
・例えば寿司といったようなデリカテッセンを拡充した。
・伝統的な高品質食材や化学合成していない食材を増やした。
・品質保証の目安であるDOPやIGP商品*コーナーを設けた。
・品質の高いオリジナルブランドを開発した。
・無農薬、GMOフリー(遺伝子組み換え食品でないこと)、グルテンフリー(血糖値を上昇させるグルテンを含まない)の商品も増やして店の商品の安全性をアピールした。
 
*DOPやIGP商品:
 イタリアでは品質が高く、伝統や地域に根ざした特有の食品などの品質認証のために1992年にD.O.P.(Denominazione di Origine Protetta)が設けられています。この制度に基づくDOPやIGPマークのついた商品は「品質に優れた美味しい食品として広く認識されています。
 
 DOP・IGP食材については→こちらか

 

DOPやIGP食材



左がP.D.O.、右がD.O.P.の指定マーク

 イタリアのD.O.P.(Denominazione di Origine Protetta)はEU法に準拠したイタリア国内の原産地名称保護制度のことです。対象となる食品としては、チーズ、ハム、ソーセージ、オリーブ、ビール、パン、果物、野菜などとなっています。D.O.P.に指定された食品は地域特有の品質のすぐれた美味しい製品であることを示しています。言ってみれば同一食材の中で、品質の保証された優れた食品を意味します。
 
 イタリアではこの制度に基づくDOPやIGPマークのついた商品は「品質に優れた美味しい食品として広く認識されています。在日イタリア大使館貿易促進部「イーチェ・イタリア貿易促進機構」によるとイタリアはEUで最もDOP(保護原産地呼称)食材の多い国です。2013年6月現在、155点のDOP(保護原産地呼称)、97点のIGP(保護地理表示)、合計252点の製品が登録されています。
 
 イタリアでは、価格は高いのですが、DOPやIGPは、品質が高くて美味しい食材として認識されており、スーパーマーケットや高級食材店における高級食材のアイコンとなっています。

 

イートインコーナー


 最近のイタリアの大都市のスーパーマーケットの目玉になっているのは、イートインコーナーです。イタリアでは日本のような手軽に食べられる大衆食堂がありません。そのため普通昼食は、家に戻って食べるか、バールでパニーニなどを食べるしかありませんでした。手軽に、しかも豊富なメニューのあるイートインコーナーは、会社員に大受けとなっています。また、観光客にも手頃な食事のできるスポットとして注目されています。
 
 ミラノのスーパー、イーペルのようにグリルコーナーがあり、店内で売っている肉やソーセージ、魚介類をその場でグリルして提供する店があります。中には食事中にワインなどの酒類も楽しむことができ、ビールを提供するマイクロブリュワリーのある店まであります。

 

スーパーに対抗する高級食材店


 豊富なイタリア各地の食材を背景に、従来からイタリアではハム、サラミ、パンチェッタといった肉加工品、各種チーズ、塩やオリーブオイル、バルサミコ酢、乾燥フンギやドライトマトといったイタリア各地の食材を並べた食材店が発達しています。特にこのような中でも、選りすぐりの高級食材を置いているのが、ミラノのペック、ローマのカストローニ、ヴォルペッティです。比較的手頃な食材を求める向きは、フィレンツェ中央市場にあるような一般食材店コンティを利用しています。

 

次回予告


 イタリアの高級食材店であるイータリー(EATALY)は、2007年にトリノで開店した大規模総合食材店です。ここではイタリア中の食材をひとつの場所で見ることができます。総合というのはあらゆる分野の食材だけでなく、食材や料理に関する本などもおいてあり、料理教室を開催するキッチンスタジオまであります。次回は日本にも店舗のあるイータリーを紹介します。
 
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