Cucina Italiana
クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第51号
イタリア高級レストランでのお作法
はじめに
日本のセレブの奥様をご案内することになったMidoromaさん。特に食事には気を使いました。なぜならこの奥様、ワインは大好きなのですが食が本当に細く、前菜一皿もお食べにならないのです。イタリア料理はお好きで、いつもは贔屓の目黒のイタリア料理店で、お小皿の料理各種を楽しまれています。
Midoromaさんはこのことを知っていることから、お食事はホテルのラウンジで軽食をとるように手配しました。ところがある日ホテルに伺ったら、ホテルのコンセルジュを通して、高級レストランを予約されていたのです。Midoromaさん夏の季節になったら、イチジクがパーティに最適な食材です。
結果は。。。。Midoromaさん、食事がのどを通らなかったとのことでした。3日間のガイドの中で最も厳しい対応だったとのことです。企業秘密なので詳細はお伝えできないのですが、語るも涙の大奮闘でした。
ということで増刊第2号では、悲劇を繰り返さないためにイタリア高級レストランでのお作法をお知らせします。
Midoroma(ヤマネミドリ)さんのご紹介
→http://www.ivc-net.co.jp/trans/yamane/index.html
協力者の紹介と1号から10号の刊行内容
→http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish.html
11号から30号の刊行予定
→http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish2.html
高級レストランとルール
高級レストランと普通のレストランやトラットリアとの間には、様々な差があります。ドレスコードがありますし、ソムリエやパティシエもいます。
そうは言っても、おおらかなイタリアなので、厳格にルールが適用されているという訳ではありません。基本ルールを念頭に、お楽しみください。
<雰囲気やサービスを楽しむもの>
高級レストランは料理の味だけでなく、お店の装飾・環境が醸し出す雰囲気や給仕の洗練したサービスや奇知の効いた会話などをトータルで楽しんでもらうところです。それなりに料金も高いのですが、それに見合ったものがあると言うことです。
語学の問題があるかも知れませんが、片言の英語でも構いませんのでコミュニケートしてみてください。従業員もサポートしてくれますので、是非その雰囲気に触れてみてください。
<ドレスコード>
高級レストランにはドレスコードがあります。ただおおらかなイタリアなので、ジャケット着用と言った程度のことも多く、フォーマルを要求されることは滅多にありません。また夜はフォーマルでも昼はカジュアルということもありますので、レストランに確認してください。カジュアルの場合でも、半ズボン、ホットパンツ、Tシャツ、サンダル履きはルール違反となりますのでご注意ください。
<料理注文の際の注意事項>
コース全体をいただくのが基本となります。それでも最近はセコンド・ピアットの省略は認められるようになってきている模様です。パスタのみの食事や2人で1皿を分けるのもレストランのマナー違反と考えて下さい。食べきれない場合は、少々もったいないのですが、食べ残すことも選択肢とお考えください。
<量少なめの注文は追加料金>
高級レストランではシェフをメインにしたオリジナルの料理が多くなっております。これは味だけでなく、飾り付けなどの見た目も考慮したものとなっています。言わばシェフの作品のようなものとなります。これを少量にするということは、料理のコンセプトに沿った「作品」をもう1つ作る必要が出て来るため手間がかかります。そのためミシェランの星付きレストランの中には、「量少なめ(small portion)は追加料金となります」と記載しているレストランもあります。
日本人の感覚的にはなかなかしっくりいかないのですが、量少なめはレストランにとってはあまり希望しないサービスなのです。ですのであえて量少なめにしてもらうよりは、「おいしかったけれど食べきれなかった」と言って残される方が賢明です。どうしても量少なめを依頼される場合は「料金追加でも構わないので量少なめにして欲しい」とリクエストされるのが良いかと思います。
<給仕はエンターテイナー>
イタリアの食事の楽しさは実は料理の味だけではなく、プロの給仕とのやりとりに始まります。言葉が心配だから、座ったらすぐに次々と出てくるようにして欲しいと言いましたら「大丈夫だから心配するな」というのがプロの給仕の答えです。イタリアのレストランでシェフをしていたことのある日本人シェフが東京の高級イタリアレストランでシェフをしていた時に「日本にはプロの給仕がいなくて困る」と言ってましたが、イタリアにはいます。その体験をぜひともしてほしいです。料理よりもそのほうが思い出に残るかと思います。
プロの給仕はでしゃばり過ぎず、かつ、ちょっと、エンタテイナメント的にそのやりとりの中でお客さんを楽しませてもくれます。「イタリアのレストランで給仕と話すのが楽しいんですよね。でも、なかなかお客さんにわかってもれなくて」と給仕に話すと「わかってくれるからご心配なく。任せておいて」だそうです。さすがプロです。
イタリアのレストラン情報は
→http://www.ivc-net.co.jp/restaurant/index.html
次回予告
フィレンツェで日本のファミリーレストランのように年中無休で、しかも観光客向けでない本当のイタリア料理を食べられる店はないかと探していましたところ、ついに見つけました。それがブルネッレスキ・ホテルのオステリア・パリアッツァです。次回は年中無休のパリアッツァのメニューを紹介します。
ヤマネミドリさんのローマの食卓は
→http://www.ivc-net.co.jp/guide/rome/table.html
協力者の紹介と刊行予定
→http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish.html