ローマでルネサンスを見る/お休みになるフェラゴスト

 
目 次
1.はじめに
2.ローマでルネサンスを見る
3.お休みになるフェッラゴースト
4.旅の情報:フェッラゴーストには事件を起こすな、病気になるな
5.あとがき

1.はじめに

 ルネサンスと言えば、すぐにフィレンツェを思い浮かべてしまいますが、実際にルネサンスが栄えたのは、ローマに移ってからでした。我がイタリアンビデオコレクションで唯一の芸術家であるMidoromaさんの本格的なローマルネサンス論のさわりと、「事件を起こすな、病気になるな」と言われるフェッラゴーストについて、紹介します。

2.ローマでルネサンスを見る

 美術史においてルネサンスの最盛期は、1450年から1527年のローマ略奪迄です。前期はメディチ家の支配するフィレンツェで展開されました。メディチ家のロレンツォの死後、華美なものを否定するサヴォナローラの神権政治が開始され、フィレンツェの繁栄は衰えます。そのため後期は教皇をパトロンとしたローマで展開されました。ミケランジェロなどの芸術家もローマに拠点を移します。ヨーロッパにおいて神聖ローマ帝国の権力が落ちてバチカンを中心にした教皇の政治力が上がった時期でもあります。政治の中心がローマになり、また、イタリアがヨーロッパの文化の中心になりました。
 

 
  ルネッサンスを知るには、中世からの流れで把握するのが理解を深める最上の方法です。 教皇と皇帝で争った中世時代の建物は要塞の体を成し、どちらの側も神の権威をかざしていたので美術様式は人間性を排除したビザンチン様式でした。皇帝側が敗退し、教皇が政治の中心になります。争いが無くなったので建築は要塞の衣を捨てて窓を大きく取るようになり、価値の中心は神から人間へ向かいました。ルネッサンスはイタリア語で「リナシメント」、RINASCIMENTOです。複合語でRIは再び、NASCIMENTOは生まれるという意味の動詞NASCEREの名詞形です。つまり、「再び生まれる」。 何が再び生まれたのかと言うと、「人間性」です。再び生まれたからにはすでにあったわけですが、どこにあったのでしょう。それは古代ローマにほかなりません。ルネッサンスの芸術家達はこぞって古代ローマ美術に範を求めました。千年もの間、平面的で人間性を欠いたビザンチン美術を見慣れた目に、当時は地方であったローマだったからこそ残っていたのです。 数々の遺跡にあったリアルな彫刻群やフレスコ画を見た芸術家の感動を想像すると、そのことが感動を呼びます。人間回帰の機運が高まるわけですが、ただし、表向きは神の権威は絶対ですから、興味の中心を人間に移した偉大な芸術家達は自分たちの作品の中に人間への興味、そこから来た探求、探求の結果の科学的知識を隠しました。隠したものを発見していくのもルネッサンス美術を見る上での楽しみでもあります。 ローマがルネサンスを語るにふさわしいのは、ローマが最盛期のルネサンスの中心であり、街がある時代に限られず、ルネサンスが目標とした古代ローマから近代までの建物や作品が残り、歴史の流れの中に身を置くことができるからです。これはローマの大きな特徴となっています。

 

3.お休みになるフェッラゴースト

  8月15日はイタリアで大事な祭日、聖母マリアの昇天祭があります。イタリアではカトリック国としての面では「聖母マリアの昇天祭」ですが、一般にはその名前「Assunzione」と呼ばず、「Ferragosto(フェッラゴースト)」と呼びます。 この名前の起源はラテン語のFeriae Augustiで「 アウグストゥスの休日」という意味です。このアウグストゥスは、かの、古代ローマの第一代皇帝のことなんです。アウグストゥスと言うのはこの方の個人名ではなく称号です。「陛下」とか「閣下」とか言うのと同じですね。彼以外にもアウグストゥスを称号に持った皇帝もいたわけですが、あまりにも立派すぎてか「アウグストゥス」と言うと、普通はこの第一代皇帝を思い浮かべます。当時としては珍しく老年まで長生きして40年も統治したし、その統治はローマ帝国を一国として確固としたものに築きあげた立派なものでした。 で、このアウグストゥスと今でも続いている8月15日の祭日とどういう関係があるのかというと、アウグストゥスが決めた祭日だからです。紀元前18世紀から祭日ですから、その後出てきた「聖母マリア昇天祭」より古いのでイタリア人にとってフェッラゴーストのほうが、もう、DNAのレベルに染みこんでしまっているのです。
 

4.旅の情報:フェッラゴーストには事件を起こすな、病気になるな

 イタリアでは「フェッラゴーストには事件を起こすな、病気になるな」と言われてます。馴染みの弁護士さんもかかりつけのお医者さんも休暇をとっているからです。病院も医長さんは休みを取ってます。かかりつけのお医者さんや小児科はインターンなどの代わりが待機します。さすがにホテルは開いてますが、有名レストランなどは閉まりますので、ご注意ください。

5.あとがき

ヴィラ(Villa)は、古代ローマの上流階級の田舎に建てた家屋を意味しました。裕福なローマ人は避暑のためヴィッラで、夏を過ごしました。多くの芸術作品は、持ち主である裕福な人達のリクエストで作られたことから、ヴィラには、多くの芸術作品で飾られています。その中にはローマの有名ファミリー・ボルゲーゼ家のヴィラのように、今ではボルゲーゼ公園となって一般に公開されています。次回は、美術品の宝庫のヴィラとご近所のボルゲーゼ家の町をご紹介します。
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