チビタ・ディ・バニョレジョへの夏の遠足

 
目 次
1.はじめに
2.死にゆく街・チビタ・ディ・バニョレジョへの夏の遠足
3.チビタ・ディ・バニョレジョの洞窟レストラン
4.旅の情報:フェラーリ博物館とフェラーリの試乗
5.あとがき

1.はじめに

 チビタ・ディ・バニョレジョは、2500年以上前にエトルリア人によってつくられた街ですが、台地辺縁部の崩落によってその上の建物が崩れる危機に常にさらされており、「死にゆく街」(il paese che muore)とも言われています。弊社のローマ担当のMidoromaさんは、友達と総勢8人で夏の遠足に出かけました。

2.死にゆく街・チビタ・ディ・バニョレジョへの夏の遠足

 チビタ・ディ・バニョレジョは、ローマが州都のラツィオ州内にあります。バニョレジョという街と橋でつながっているのがこの「チビタ・ディ・バニョレジョ」なのです。車で行けるのはバニョレジョの駐車場まで。駐車場からチビタへ渡る橋まで巡回バスが往復1ユーロで出てました。橋の長さは300m。でも、巡回バスを降りてからの距離を含めると約1kmの距離を歩くことになり、最後の登り坂がきついです。
 
 住人は11人ほどだそうですが、日中は人口が増えます。ほとんどの建物の一階部分は土産物屋か食べ物屋になっており、そこに働く人が来るからです。ついつい店内が気になるし、そして行った日が日曜でもあったので観光客も多数。他の観光都市と変わらない雰囲気で「死にゆく街」というキャッチフレーズで想像する静かな廃墟の感じはしませんでした。総勢8人で出かけたのも「静けさ」を感じる要素を減らしました。
 街を散策します。この街はどの建物もTUFOと呼ばれる凝灰岩でできています。当然、この地域がこの岩石でできているということです。中部イタリアから南にかけてこの凝灰岩の地層が多く、ナポリの地下都市やシチリアのヴァル・ディ・ノートの黄褐色の凝灰石だけで作ったバロック様式の教会が見事です。建物の様相は中世なので要塞のように頑丈な厚い壁に小さな窓です。建物の窓は大きいので、ルネッサンス期に改装したのではないかと思います。中世時代の1000年は法王側と皇帝側に誰もが分かれて争いが絶えなかった時期なので(ロミオとジュリエットの生家が憎み合っていたのもこのせい)建物は侵入しにくく守りやすい造りになってました。
 
 町を散歩していると、あっという間に町外れです。外壁をぐるりと回る道の途中に洞窟。教会として使っていたようです。街の門をくぐると広場があり、広場には教会があります。サン・ドナード教会です。ファサードの造形は典型的なロマネスク様式。ロマネスク様式はゴシック(で、これはルネッサンスの前)の前に現れた様式で中世前期。この教会での見どころの一つがこちらの木製、磔のキリスト像。主祭壇ではなく脇にあります。15世紀のドナテッロ派の作だそうで、何が珍しいのかというと、キリストが亡くなった直後を表していて目が半開き、というところが珍しいそうです。
 
  「死にゆく街」というキャッチフレーズで想像する静かな廃墟の感じはしませんでした。イタリア国内を旅行すると、その土地の建物のミニチュアを買います。今回も買いました。このミニチュアを覗き込んだ方が静かな感じが味わえそうです。
 
 詳しくは→https://www.ivc-net.co.jp/cult/wind/2021/377.html

3.チビタ・ディ・バニョレジョの洞窟レストラン

 夏の暑さの中、太陽から逃れたくて、この山をかたち作っている岩を掘って作ったAntico Frantoio(アンティーコ・フラントイオ)で食事をすることにしました。ここはレストランでもトラットリアでも無く、「ブルスケッテリア」。ブルスケッタ屋さんです。
  中へ入ってすぐ目につくのが昔のワイン製造所だから、ロバを使って回していたであろうぶどうを絞る道具。手掘りの洞窟と合わせていやが上にも雰囲気が高まります。そして空気のひんやりした感じにホッとします。
 
 Midoromaさんが注文したのはアブルッツォ風豆。茹でた豆に、ニンニク、パセリ、オリーブ、アンチョビーをみじん切りにしたものにオリーブオイルを混ぜてソースにしたものを和えます。友達が注文したのは、ブルスケッタのラード乗せ。温めたパンに薄切りのラードを乗せると少し溶けます。黒胡椒とオリーブオイルをかけていただきます。
 
 仲間が注文した「ハムサラミのミックス前菜(2人前)」。2人前にしてはちょっと量が…少ない。。。羊チーズの盛り合わせは、はちみつ(栗のはちみつでした)、オレンジジャム、いちごジャムをつけながらチーズを食べます。甘辛の組み合わせは美味しいですね。
 仕上げにブラックベリージャムのクロスタータをいただきました。ワインが水っぽかったことを除けば、味はどれも悪くなかったけれど、何しろ量が少なく、その量にしては値段が高め。総勢8人の仲間もそれぞれ二皿づつ、そしてデザートを頼みました。水1リットルを4本、ワインを2リットル、コーヒーも全員。いつも通り頭割りすると一人33ユーロ、約4300円。この値段だと、肉類より割高の魚料理をトラットリアで食べられる値段で、しぶしぶ払いました。 チビタ・バニョレジョへお越しの際は、是非とも別の店で食事をしてください。ただチビタ・バニョレジョで「昔のワイン製造所」の雰囲気を楽しまれたい方や、洞窟で涼みたい方には、いいと思います。

4.旅の情報:フェラーリ博物館とフェラーリの試乗

 モデナの駅からタクシーで30分位のところにマラネッロの街があります。この街には、イタリアを代表する高級車フェラーリの工場がある他、伝説の名車を並べ、フェラーリの歴史を伝えるフェラーリ博物館(Museo Ferrari)があります。
 
 フェラーリ博物館の反対側に、2009年に開設された、フェラーリを試乗させるサービス(年中無休)があります。フェラーリ試乗サービスでは、国際免許をお持ちになれば、フェラーリの新鋭車を運転することができます(要予約)。基本は、スタッフが助手席に同乗する形を取ります。そのため後部座席のあるフェラーリ・カルフォルニアのみ、同行の方が同乗できます。
 試乗料金は、車種によって異なりますが、FerrariCaliforniaTの場合、公道走行で10分間(9km)100ユーロ〜、70分間(65km)550ユーロとなっています。レーストラックを使った試乗は、FerrariCaliforniaTの場合90分間(50km、13ラップ)で1750ユーロとなっています。世界最高のスポーツカーを自分の好みに合わせて試乗できるということで、大変人気になっています。
 
 詳しくは→https://www.ivc-net.co.jp/guide/firenze/ferrari1.html

5.あとがき

  高級レストランと普通のレストランやトラットリアとの間には、様々な差があります。ドレスコードがあります。そうは言っても、おおらかなイタリアなので、厳格にルールが適用されているという訳ではありません。 次回は、 イタリアのレストラン事情その3高級レストランと基本ルール をご紹介します。
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