イタリア有名ブランドの再編/ コロナ禍のレストラン

 
目 次
1.はじめに
2.イタリア有名ブランドの再編
3.コロナ禍のレストラン
4.旅の情報:イースターを念頭においたイタリアの再ロックアウト
5.あとがき

1.はじめに

 世界を跋扈する中国人は、ここイタリアでも話題のタネとなっています。イタリア国内生産だと、メード・イン・イタリーになることから、中国資本がイタリアの工場を買収して、メード・イン・イタリーの製品を作っています。そこの労働者には、安く雇える中国人労働者を、中国から送り込みます。そこでは1日16時間労働をさせる極めて劣悪な労働環境となっています。このことからこの種の工場は、誰とはなく、奴隷工場と呼んでいます。いまや、イタリアには、中部イタリアを中心に設置されており、主として低品質のファッション生産品を作り出しています。これはイタリアファッション産業の影の部分と言ってもいいかもしれません。

2.イタリア有名ブランドの再編<ケリング・グループ>

 お洒落で定評のあるイタリアでは、様々なファッションブランドが生まれ、また再編されています。以前ご紹介させていただいたように、イタリアの職人技を維持・発展させる、ブルネッロ・クチネリのようなビジネスモデルもあれば、グッチのようにM&Aを繰り返して、巨大化するブランド・グループもあります。前回、ご紹介させていただいたグッチのドラえもんグッズ騒動もこのブランドビジネスの一端でした。今回はグッチが含まれるケリング・グループの紹介です。
 
 グッチはグッチオ・グッチが1921年に創業したイタリアの代表的なファッションブランドです。バッグ・靴・サイフなどの皮革商品をはじめ、服、宝飾品、 時計、 香水などを幅広く手がけています。1990年代に創業家一族の中での暗殺事件などのお家騒動の結果、外資に買収されるなど翻弄され、1999年にフランスの流通大手企業であるPPRの保有会社となっています。このPPRが再編され、現在では年間総売上154.78億ユーロ(1.98兆円)のケリング・グループとなっています。このケリング・グループの傘下には、グッチの他に、バレンシアガ、イブ・サンローラン、ボッテガ・ヴェネタ、リチャード・ジノリなどの名だたるブランドが名を連ねています。
 グッチのビジネスモデルは典型的なピラミッド型の3層構造になっています。トップに位置するのは、高品質の最高級品を提供する特別販売部門です。ここの商品は、例えば最高級の牛皮であっても10枚のうち3枚しか利用しないという厳選されたものが利用され、熟練した職人によって作られています。店舗にはこの最高級品を提供する特別室があり、今も欧州に残る貴族やセレブ層に提供されています。この部屋で提供される高品質の商品は、職人技術継承に役立てられています。誰でもこの部屋に入れるわけではなく、厳選された顧客のみというのがポイントになっています。
 
 中層に位置するのが通常の路面店の販売部門です。ここでの商品は技術継承された職人技に基づきイタリア各地や欧州で量産された高級品です。ここの商品は誰でも購入することが可能です。と言っても、値段は高いのですから、イタリアの庶民には手が出ません。富裕層、および日本人や中国人などの観光客が買いに訪れます。
 
 下層に位置するのが、アウトレットです。ここで販売されているのは、フィレンツェ周辺の都市にあるアウトレット専用品工場で生産されていると言われています。この製品製作に従事しているのは中国人労働者と噂されています。大量生産品で、品質的には路面店より劣りますが、価格的に安価な商品です。以前、バイマで出品されている商品を調べたところトップ10のうち9つまでが、アウトレット品だったとのことです。これはブランドものが欲しい世界中の若者達に、売れに売れています。このような3層のビジネスモデルが成功して、グッチの売り上げは年間42億ユーロとなっています。

3.コロナ禍のレストラン「海」

 コロナ自粛が緩和され、安全を確保した上、様々な規制を守ればレストランも開けていい事になりました。Pelagus、ラテン語で「海」。とたんに高尚な感じ。ご近所の住宅街にひっそりとありました。店の入り口に注意書きがあります。経営は若い男子二人。そこここに若い世代が見えます。例えば、メニュー。紙のメニューはありません。QRコードを読み込んでね、とのこと。スマホでメニューを呼び出したけど、電波が悪くて開かなかった。そういう人用にタブレットが用意してあって、貸してくれました。
 
 プリモピァットはコッツェ(ムール貝)とボッタルガ(カラスミ)のスパゲッティ。お皿をテーブルに乗せた途端、プチトマトとムール貝とボッタルガの香りがプ〜ン。
 セコンド・ピァットは、今日は、マグロがあるよ、というので迷わずマグロのロースト、ピスタチオのソース和えを頼みました。というか、お腹はすでに満足してて、舌の要求だけだったので一皿を二人でシェア。外側だけサッと焼いて中はほぼ生。ピスタチオのソースとの相性も良かった。
 カンノーロシチリアーノがあるよ、というので二人とも好物なのでそれにしました。お腹はいっぱいだったけど。中身のクリームが生クリームっぽかったのが残念。本場のは羊のリコッタチーズで作るクリームなのでもっと味が濃い。一人27,5ユーロ(旦那が)、約3300円。魚料理の値段として普通かちょっと低め。少しおまけしてくれたみたい。
 
 経営者。ファビオ(左のコックさん)とイヴァン(フロア担当)。新コロナ下のマスクバージョン。ファビオはお髭があるのであまり印象が変わらない。二人とも強そうで、タトゥーがあって怖そうだけど、すっごく親切でした。8年前に22歳と25歳だった時に店を開けたそうな。自粛時期は色々考えて、ソーシャルネットで宣伝してデリバリーで乗り切ったとの事。寿司弁当が受けたのでまたやってみるとの事。この仕事が好き!と感じさせてくれて色々ポジティブになれるレストランでした。
 
<Ristorante Pelagu>
 Via Sesia, 16, 00071, Pomezia (Roma)
 電話:+39 06 9190 0572
 
 コロナ禍のレストラン「海」→https://www.ivc-net.co.jp/cult/wind/2021/358.html

4.旅の情報: イースターを念頭においたイタリアの再ロックアウト

 復活祭・イースター(Pasqua)は、金曜日に処刑されたキリストが復活したことを祝う、キリスト教徒にとってクリスマスに並んで大事なお祭りです。「春分の日のあとの最初の満月の次の日曜日」と決まっていて、今年の場合、4月4日です。翌日の月曜日は、Pasquetta(小さい復活祭)と言う祝日で連休となり、例年ならどこも賑わい、レストランも予約でいっぱいになります。
 
 新型コロナウィルスの変異型が拡大していることから、3月14日からイースターがあけるまで、イタリア政府は再度ロックダウンを強化しています。具体的には第70回で 説明したように、ほとんど全部の週が、基本的に移動が禁じられる最も厳しいレッドのロックダウンとなっています。ここで患者数が再び増えるのを抑え込もうとしているからです。とは言うものの、感染しても既往症がなければ重症化することの少ない若者を中心に、コロナ禍疲れから反発する向きも多く、ナポリなどでは暴動騒ぎもあるとのことです。いずれにしてもコロナは大きな社会問題となっています。

5.あとがき

 イタリアのおいしいレストランは郊外にあります。例えばミシェランの三つ星レストランはイタリアには8軒ありますが、観光客が行きやすいのは、ローマのペラゴラとフィレンツェのエノテカピンキオーリだけで、あとは不便な郊外です。ローマのイタリア人が行くのは、シーフードだったら都心から40km位はなれた空港近くのフィウミチーノという漁港になります。次回はイタリアのレストラン事情です。
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