コロナ禍のクリスマス/イタリアの年末年始

 
目 次
1.はじめに
2.コロナ禍のクリスマス
3.イタリアの年末年始
4.旅の情報:再びロックダウン
5.あとがき

1.はじめに

 イタリアでは秋になると感染の再拡大が見られました。7、8月のバカンス期に3密が守られなかったのが原因と考えられています。11月に イタリア全土をレッド、オレンジ、イエローの三つに分けてロックダウンする首相令が出されました 。この規制が厳しかったことから、イタリア各地でデモが行われました。 、 それに便乗して「とにかく暴れるのが命!」の輩たちが、紙爆弾など持参して大暴れ。機動隊と衝突して怪我人が出て、騒ぎに乗じて店舗を襲撃(トリノではグッチの店のウィンドウが割られて、マネキンが持っていたバッグが奪われた)。これがナポリ、トリノ、ミラノ、ローマで起こった ということです。コロナ禍になってから1年、ワクチンの開発も進んできているので、そろそろ終息が見えたないかなあ、と思っています。

2.コロナ禍のクリスマス

 イタリアのクリスマスは大騒ぎパーティではなくて、家族、親族で過ごすもの。それでも2020年の新コロナ禍のクリスマスは他県間の移動ができなくて、ベローナに住む義妹一家と集まれない。本当に家族だけ。兄弟のように付き合ってる近所に住む友人と居候が若干の賑わいを見せてくれました。
 さて、お祭りと言えば食べる。イブの晩餐は魚介類、クリスマスの昼餐は肉、と決まっている。ローマで肉といえば子羊。準備は19日から始まました。サルデーニャの農村部出身の居候が、サルデーニャ製のナイフを使って、慣れた手際でさっさと血を抜き、皮を剥ぎ、丁寧に内臓を取り出し、食べる分と捨てる分に分けます。体を縦半分に分けて冷凍。当日、半身と4分の1が回転グリルに収まりました。
 クリスマスの主菜はアバッキオと呼ばれる1年未満の子羊の直火焼き。焼き上がったアバッキオを、これまた居候が手際よく切り分ける。客人が持ってきてくれたトレビーソのプロセッコ。客人差し入れの前菜。食パンをカナッペに、マヨネーズサラダ、スモークサーモン、魚介サラダ。プロセッコで乾杯して食事開始。アバッキオの直火焼きの下にはサルデーニャの酵母菌を使わないパン、ピストックが敷かれてる。発酵していないので軽くて、脂分たっぷりの子羊肉によく合う。食べる。手づかみでワシワシ食べる。美味しくて誰も喋る人がいなくなるひととき。
 食後のエスプレッソの後でエスプレッソ。そしてクリスマスのデザートのパネットーネ。お菓子製造販売専門のCancelliereで購入。スーパーで買う工場産のパネットーネの10倍の値段。ピスタチオのクリーム付き。美味。工場の大量生産のものと違うのは原材料から来ているのだろうな、口中に残るスポンジ部分やピスタチオクリームの香りが違う。深く感動。  デザートのお供はデザート用の甘口スプマンテDolce。食後酒は旦那が作った月桂樹のリキュール。消化を助けるそうです。これでようやく本当に終了します。Merry Christmas!!
 
 2020年のクリスマスは家族で→https://www.ivc-net.co.jp/cult/wind/2020/366html

3.イタリアの年末年始

 イタリアの年末年始はクリスマスで大きな山場を迎えます。 24日のイブは夕食が正餐、25日のクリスマスは昼食が正餐。クリスマスは家庭で、が、モットーのイタリアですが、昨今はレストランへ出かける家族が増えています
 26日の聖ステファノの日、エルサレムでの最初の殉教者、聖ステファノの日。ヨーロッパの多くの国でも祝日です。聖ステファノのお祭りでクリスマスに続いて国の祭日。ごちそうが3日間続きます。
 31日は聖シルベストロの日。皇帝コンスタンティヌスがキリスト教を公認した直後に教皇に選ばれた、第33代のシルベストロ教皇を記念する日。カウントダウンしながらスプマンテを抜きます。大騒ぎするのがイタリア流。締めは花火とレンズ豆。みんなで大騒ぎする年に一度のお祭りです。
 1月1日は朝のんびりして、特別な昼ごはんを食べます。昼寝をして大騒ぎした大晦日の寝不足を解消する…というのが定番。日本のように「さぁ、新しい年を迎えてなにかがんばるぞ」という意識が微塵もありません。おせちみたいなものはないけれど、レンズ豆は正月料理。レンズ豆を硬貨に見立て、お金がたくさん入りますように、という願いを込めて食します。
 
 このごちそう攻めは6日の御公現祭(ベファーナの日)まで続きます。キリストの生誕を祝い東方の3博士がお祝いのプレゼントを持ってやってきた日です。この日ベファーナ(Befana)という魔女が来るといわれ、暖炉から家の中に入って来て、子供たちが寝る前に暖炉の横に置いた靴下にプレゼントを入れる。良い子にしていれば素敵なプレゼントを、悪い子には墨を入れると伝えられている。ベファーナは魔女でもあるので、魔女の毒リンゴが出てきます。つまり露店で本物のりんごをキャラメル煮にしたものを売っています。本来、サンタクロースはイタリアにはいなかったので、プレゼントはこちらがメインのはずですが、イタリアでもクリスマスプレゼントが盛んです。ということでイタリアの子供達はこの時期2回プレゼントをもらいます。クリスマスから大晦日、正月と続くごちそうシーズンが、ようやく終わります。

4.旅の情報:再びロックダウン

 11月に イタリア全土をレッド、オレンジ、イエローの三つに分けてロックダウンする首相令が出されました 。公共交通機関は50%以下の乗車率で運行され、ジム、プール、美術館、劇場、映画館、ゲームセンター等は閉鎖となります。商店は食料品や生活必需品、薬局等を除き閉鎖(レッド)、飲食サービスは禁止(レッド・オレンジ)となりますが、宅配サービスは制限がありません。外出禁止時間は22時から5時(オレンジ・イエロー)、レッドは外出禁止となります。また外出にあたっては外出理由・目的等を記載した自己宣誓書の作成が必要となります。
 
 イエローは出来るだけ移動を回避することが求められますが、州を越える移動も可能です。移動にあたっては必要理由等を記載した自己宣誓書が必要となり(レッド・オレンジ)、必要に応じ、提示が求められます。オレンジは、州、自治体(コムーネ)をまたぐ移動は禁止され、レッドはこれに加え、自治体(コムーネ)内での移動も禁止されます。
 
 当初、10州あったイエローも11月後半には、 ローマがあるラツィオ、サルデーニャ、南イタリアのモリーセ、ベネツィアがあるベネト、ベネトに隣接するトレントの5州になったが、12月中旬には首相令の効果があったのか、赤(危険)の州がゼロになり、オレンジ(やや危険)が5州、残り17州が黄色になりました。この色分けはしばしば変更があることから、関係する人は常時確認が必要となっています

5.あとがき

 イタリアの元旦は特にこれを食べる、という決まった料理はありません。ただ縁起物のレンズ豆を食べるのが正月のお決まりです。コロナ禍でもこの風習は継続されています。
 
 そうは言っても、お祭日なので普段よりちょっと凝ったものをMidoromaさんの家では食べます。次回はコロナ禍のお正月と、グッチが2021年の新年に合わせて発売したドラえもんグッズに関わるエピソードです。
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