ローマから吹く風第45号
ライフイズビューティフル/ジェンツァーノのパン

 
目 次
1.はじめに カラビニエリが警護するシナゴーグ
2.映画の中のローマ「ライフイズビューティフル」
3.ジェンツァーノのパン
4.旅の情報:イタリア鉄道の割引制度
5.あとがき

1.はじめに

 テベレ川河畔にある古代のローマ劇場の反対側にローマのユダヤ教寺院シナゴーグがありま す。シナゴーグにはイスラム過激派のテロを懸念してか、カラビニエリ(憲兵警察)がサブマ シンガンをかかえて警護しています。なんでカラビニエリが警護するのかと思いましたが、よ くよく考えてみると、ユダヤ人の遺産であるシナゴーグは文化財なのですね。だから文化財警 護のカラビニエリが出てくるのか、と妙に納得しました。

2.映画の中のローマ「ライフイズビューティフル」

 古くから流浪の民族ユダヤ人はローマに住みついています。キリスト教がローマに伝えられ たのもパレスチナのユダヤ人を通じてだといわれています。ですから2000年以上,ローマに住 み続けていることになります。キリストの女弟子のマグダラのマリアがローマに布教したとの 伝説もそのような中で生まれたものです。ユダヤ人居住区はゲットーと呼ばれ、ユダヤ人はこ のゲットーに押し込められていました。テベレ川の中州のあるチブルティーナ島近くに、壁は 無くなっていますが,今でもゲットーがあります。
 
 1997 年に公開されたイタリア映画の名作「ライフイズビューティフル」は、イタリアにおけ るナチスドイツのユダヤ人狩りをテーマにした名作です。ユダヤ人狩りで強制収容所に送られ たユダヤ人一家の物語です。父親は息子にこれはゲームだ、ママに会いたかったらゲームに勝 たなければならないと嘘をつきます。最後に処刑されることになって連行される父親が、「お父 ちゃんはゲームオーバーになってしまったけれどお前は頑張れ」と必死におどけてみせる姿は 心を揺さぶります。まだご覧になっていない方は是非ご覧ください。
  この映画の背景になっているのが 1943 年 10 月 16 日にローマで行われたユダヤ人狩りです。 ゲットーで集められた 1000 人あまりのユダヤ人が強制収容所に送られました。ほとんどがガス 室送りになり、帰還できたのは男 14 人、女 1 人の 15 人だけでした。イタリアにあった強制収 容所の中でガス室があったのはユーゴとの国境沿いにあるトリエステだけだったことから、ト リエステに貨物列車で送られたと考えられています。シナゴーグ自体は、特に特徴のない古い 建物なのですが、映画「ライフイズビューティフル」のことを思い浮かべてしまいます。
 
 当時ローマにユダヤ人は 12000 人いたといわれています。そのうち約 1000 人が連行されま した。ユダヤ人指導者やラビが積極的に名簿を提出した東欧と異なり 1000 人しか連行されてい なかったということは、ドイツ軍への協力者が少なかったことを意味します。 またこのユダヤ人を逃亡させようとしたイタリア人や、食料や水をこっそり差し入れた(囚 人には収容所まで提供されませんでした)多くのイタリア人がいたこと、ファシストのイタリ ア人警備兵がドイツ兵の制止を振り切って水を与えたことなど、イタリア人らしい人間的な話 が沢山ありました。
 
 サンジョバンニ・イン・ラテラーノ教会近くのタッソ街にゲシュタボの秘密監獄がありまし た。現在はローマ解放歴史記念館となっており、当時の様々な遺品が展示されています。イタ リアでもユダヤ人狩りがあり、ガス室の敷設された強制収容所があったことを知ってください。 心優しいイタリアの人々は反省しているのですから。

3.ジェンツァーノのパン

 「パンのように人が良い」とか「パンのように売れる」とか、イタリア語にはパンを使った 表現方法がいくつかあって、それほど日常生活に大事な、というか、無くなてはならない、あって当たり前のものなのです。ワインやオリーブオイルのように土地ごとにパンの顔が違います。ローマにも色々あります が、ローマの庶民のお気に入りは、ローマ南東30kmにあるカステッリ・ロマーニの丘にある古 都ジェンツァーノで作られているパンです。
 
 ジェンツァーノ・パンはPane casareccio di GenzanoとしてI.G.P.(Indicazione Geografica Protetta)保護指定地域表示がついています。全工程の一部が指定地域である、という表示だそう です。特徴はそのカリッとした香ばしい皮と程よい湿気を含んだ柔らかく白い中身にあります。 見かけより優しい皮です。パリッとしてるので、見かけよりも噛みやすく、焼けた穀物の香ば しさが口に広がります。
  日本で売られる食パンの柔らかさとはちょっと違いますが、イタリアで売られるパンの中で は柔らかい方です。自然酵母のおかげで甘い香りがします。アングロサクソン系の食べ方のバ ターではなく、このままハムやサラミ、チーズに合わせて。焼いてブルスケッタにしてガーリ ックと塩とオリーブオイルで。現地の人によると一番美味しいのは、パスタを食べ終えて、残 ったソースを拭って食べる、だそうです。ローマに行ったら是非試してみてください。
 
 詳しくは→https://www.ivc-net.co.jp/cult/wind/2018/317.html

4.旅の情報:イタリア鉄道の割引制度

 イタリア鉄道(Trenitalia)では、4ヶ月前迄のチケットを事前購入できます。さらに2ヶ月前 迄なら、大幅な割引料金が適用されます。 例えば、ローマ・ナポリの場合、通常料金が43ユー ロのところを、19ユーロで乗車できたりします。
 
 主な割引料金としては次のようなものがあります。
・ エコノミー:各特急列車に一定の数だけ設けられた割引切符
・ スーパーエコノミー:エコノミー割引に準ずる。エコノミーより数が少なく、残りが少なく なるに連れて値段が変化する。
・ スペシャル2:土曜日、二人分の購入で正規の半額
・ 日帰り・土日往復:日帰り、あるいはウィークエンドの往復に適用される割引
 日本人にとって、鉄道料金は固定されたものだと思っていますが、イタリアでは割引料金で 列車に乗車するのが普通になっています。オンラインで購入できますので、イタリアを訪問さ れる際は試してみてください。
 
 詳しくは→https://www.ivc-net.co.jp/ticket/train/price.html

5.あとがき

 ローマ市内にはオベリスクと呼ばれる尖塔の記念碑が14本建っています。オベリスクは、古 代ローマ皇帝がエジプトを属領としていた時代に、記念に持ち帰った(強奪した?)記念碑で、 街の中央広場などに建てられているものです。次回はこのオベリスクとは何たるものかをご説 明いたします。
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