メールマガジン"ローマから吹く風"第9号:高級レストランのグローバル化/イタリアの料理店の分類

 
目 次
1.はじめに 高級レストランのプライド
2.高級レストランのグローバル化
3.イタリア料理の特徴
4.イタリアの料理店の分類
5.あとがき 地元の食材を使ったメニュー
6.おしらせ メールマガジン「クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)」の創刊

1.はじめに 高級レストランのプライド

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 先日、ローマの山根さんがお客様の依頼で、ローマの高級レストランに同行しました。お客様が食の細い方だったので、お皿のシェアをお願いしましたが、支配人さんがやってきて丁重に断られてしまいました。

 そこで、料理が出てくる時に、ナイフとフォークとお皿を、お客様の分もお願いしました。ウェイターが不承不承、持ってきてはくれました。その度に山根さんは、冷や汗をかき、食事の味どころではなかったそうです。日本では,お客様の意向に、高級レストランもある程度応じてくれますが,イタリアの高級レストランは、プライドが高く、日本流とはならない事に注意する必要があります。


2.高級レストランのグローバル化

マンガ学校
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 ここ20年位でイタリアの高級レストランの料理内容が変わっています。昔は高級レストランといえども、その地方の伝統料理がメインでした。その当時の高級レストランは、伝統的な料理で、材料と食器にいいものを使い、高いワインが置いてあり、給仕の態度が洗練されているというものでした。それがフランス料理発のヌーベル・キュイジーヌ式(京都の精進料理をフランス料理に応用したのが始まりとか)になり、グローバルらしく世界中から材料を得てオリジナル料理+見た目の美しさを追求しています。そうはいっても、食材の豊かなイタリアでは、昔から続く素材の味を活かす調理法が今でも重要視されており、これが伝統料理を基礎にした、イタリア料理の新しいトレンドになっています。この傾向を反映して、ミシェランの星付きレストランが、イタリアでは、増加しています。
 ただし、ミシュラン系や高級ホテルのレストランはシェフのオリジナル料理で盛り付けが「ヌーベル・キュイジーヌ」風のフランス人好みで、厳密にイタリア料理とは言えないことをお含みおき頂きたいと思います。例えば人気が高く、予約がなかなか取れないローマのミシェラン三つ星のPergolaで食べて「美味しいイタリア料理を食べた」とはいえません。シェフのHeinz Beckさん(ドイツ人)の料理を堪能した、というのが正確なところです。

 ミシェラン三つ星のPergolaのメニューは→こちらから

3.イタリア料理の特徴

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 イタリアはもともと豊かな土地で、季節ごと、地方ごとに野菜と果物が豊富にあり、火山起源の土地柄と太陽と雨の恵みで美味しいぶどう、オリーブが取れます。また、山岳あり、海ありでタンパク質源も豊富です。
 いつでも新鮮な美味しい食材に恵まれているので、素材の味を活かす調理法が主になっていったと考えられます。イタリアと近いところにあるのに、フランスに入ったとたん食材が乏しくなります。イギリスほどじゃありませんが。それで、バターや生クリームをたっぷり使って煮込むようになったのでしょう。フランス料理が、ソースが決め手というのもそんなところからかもしれません。
 ということで、イタリア料理の基本は、素材の味を活かすということになります。素材は、地域ごとに異なることから、地域ごとの料理があることになります。料理は伝統的な使い方ばかりではなく、オリジナルな組み合わせも出てくるので、例えば「パスタ」と言っても種類は数えきれません。またワインも、当然ながら、その地方の料理に合ったものが、作られています。

 イタリアの食文化の紹介は→http://www.ivc-net.co.jp/food.html

4.イタリアの料理店の分類

マンガ学校
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savini

 イタリアでは、日本の料亭、割烹、レストラン、食堂と言ったように、料理店の分類があります。大雑把にいって、次の5種類に分かれます。

<リストランテ (Ristorante)>
 いわゆるレストランです。高級レストランの多くはこの中に含まれます。ドレスコードのあるところもあります。レストランマナーに忠実で、前菜とパスタのみの食事や、お皿のシェアーもマナー違反と考える店が多いです。食事時間に2時間は必要となりますので、余裕を持って、訪問ください。費用もお一人80ユーロ程度はすると思ってください。

 お薦めのリストランテ、ローマのエデンのテラスは→こちらから

<トラットリア (Trattoria)>
 リストランテよりは気軽に利用できる食堂です。ナプキンも布ではなく、紙が利用されることが多いです。ここでは、お皿のシェアーOKや、大皿料理を出してくれる店があったりします。それでも40ユーロ程度はしますので、庶民にとって安いものではありません。高級レストランで廃れてきている地元の伝統料理も、トラットリアでは健在です。

 お薦めのトラットリア、ローマ伝統料理のペコリーノ(羊の肉)は→こちらから

<オステリア (Osteria)>
 エノテカから発展した庶民的食堂です。日本の大衆食堂と異なり、ただ食べるだけでなく、ワインが充実しており、食事時間を余裕を持って過ごすことができます。実質本位で、格好をあまり気にしません。レストランとしても、コース料理が重視されるリストランテやトラットリアと異なり、お腹に合わせて好きに選べるという意味で自由度が高いと言えます。

 お薦めのオステリア、ローマ近郊のAntico Grottinoは→こちらから

<エノテカ (Enoteca)>
 ワインショップであるエノテカでは、試飲のためおつまみを出していました。これが発展して、今では西洋居酒屋のようなところになっています。中には食事を出すところもあり、軽食には最適です。ただ、ワインは必須アイテムになりますが.......

 お薦めのエノテカ、フィレンツェのエノトリアは→こちらから

<ピッツェリア(Pizzeria)>
 主としてピッツァを提供する料理店。イタリアでは45000軒もあるポピュラーなもの。ファーストフード式の切り売りのピッツァ店もあります。ピッツァ1品で完結することから、価格的に手軽な食事の部類に入ります。最近は、昼の営業も普通になっていますが、基本は夜の食事です。

 お薦めのピッツェリア、ナポリのLa Notiziaは→こちらから

5.あとがき 地元の食材を使ったメニュー


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 株)イタリアンビデオコレクションのホームページでは、イタリアのレストランのメニューを紹介しています。そうすると、地方ごとに、その地の食材を使った独特のメニューがあり、工夫があります。日本料理にも、すごいものはあるけど、イタリアの方が、庶民の店まで真剣に素材の味を追求しているイメージです。これを眺めていると味わってみたくなります。この気持ちが"食"のメルマガクチーナ・イタリアーナ創刊につながったのかも知れません。

 次回は、イタリア人の食材へのこだわりから生まれた食文化運動・スローフード運動を紹介します。

 レストランのメニューは→こちらから

6.おしらせ メールマガジン「クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)」の創刊


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 日本に伝えられ、普及しているイタリア料理や食材は、食物検疫のハードルがあり、まだイタリアの"食"の氷山の一角にしか過ぎません。豊かな自然に囲まれたイタリアは、地方ごとに様々な食材があり、おいしい料理があります。クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)のメールマガジンは、そんな奥の深いイタリア料理や日本ではあまり知られていない食材、日本で手に入る食材などイタリアの”食”についてご紹介し、一緒に味わっていただくものです。

<クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)>
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