ワインの大地、イタリアのワイン

 
 温暖な気候のイタリアでは北はアルプスの麓から、南はアフリカ大陸のチュニジアに近いパンテッレリーア島まで、すべての地域でブドウが栽培されています。しかもブドウの種類は1000種類以上あり、ブドウの品種としては、ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、ネーロ・ダヴォラといったイタリア土着種が多く使われています。この他フランス原産の品種も生産されており、ワイン銘柄は多種多様となっています。古代ギリシア人はイタリアの土地をワインを生む大地と呼んでおりました。かつては安ワインの代名詞とも呼ばれたイタリアワインは、生産者の努力により品質が世界トップクラスとなっており、2016年にはワインの生産量ではイタリアが世界一となっています。

法律でワインの原産地表示が制度化されています

 イタリアでは法律でワインの原産地表示が制度化されています。上からDOCG・DOC・IGT・VdTに分類されています。上位の基準ほど生産地域、品種、品質、熟成度、生産方法等の細かい規定に適合・合格していることが必要になっています。一般にDOCG、DOCに分類されたものが上級のワインと考えられています。VdTはテーブルワインを意味します。とはいうもののテーブルワインクラスでも高品質のワインがあり、庶民は日常用のワインをワイン専用のポリタンクを使って、生産農家から安く直接購入して楽しんでいます。

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DOCGのヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノを産み出すヴェルナッチャ種の葡萄と畑

地元料理に合わせて発達した各地のワイン

 ワインはローマ時代からイタリアの人々に楽しまれており、「ワインのない食事は楽しくなく、健康によくない」といわれているように、イタリアの食事の基本的要素になっています。イタリアでは地域ごとに独特の農畜産物、魚介類、野禽類、加工食品等の豊富な食材があり、地域の食材を使った地元料理が発達しています。この地元料理に合わせて、地域ごとにワインが開発されていると言って過言ではありません。このようなことから地元のワインでその土地の料理を食べるのが、イタリア料理のいちばんおいしい食べ方とも言えるのです。
 
 海外でも良く知られているワインとしては、トスカーナ州のキャンティやブルネッロそしてサッシカイア、ピエモンテ州のバローロやバルバレスコ、ヴェネト州のソアーベやプロセッコ、エミリア・ロマーニャ州のランブルスコ、ウンブリア州のオルヴィエート、ラツィオ州のフラスカーティなどその地域ごとに様々な銘柄があります。以下に簡単にご紹介しますので、参考としてください。

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トスカーナ州(州都フィレンツェ)

 トスカーナ州はピエモンテ州とならびイタリアワインの一大生産地で、DOCG、DOCに分類される最上級ワインが数多く作られています。州内にはキヤンティ、モンタルチーノ、モンテプルチャーノ、サンジミニャーノ、ボルゲリといった地域にワイナリーが点在しており、その技を競っています。赤ワインであればイタリア土着種のサンジョヴェーゼ種を主体としたキヤンティ、ブルネッロ、ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノが古くから高品質で知られています。また近年、カベルネ・ソーヴィニオン、メルロー等のフランス原産のブドウを使ったサッシカイア、ソライア等の「スーパータスカン」と呼ばれるボルドーワインを意識した長期熟成型の高品質ワインが開発されています。白ワインとしては土着種のヴェルナッチャ種を使った辛口のヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ(写真右)が最上級のDOCGを獲得したワインとして知られています。
 
 トスカーナのワイナリーは→こちらから
 
 ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノのワイナリー訪問報告は→こちらから
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ピエモンテ州(州都トリノ)

 イタリアのピエモンテ州にあるバローロ、バルバレスコは、イタリア土着種のネッビオーロ種ブドウを使った最高級の赤ワインの産地として有名です。DOCG、DOCに分類された最上級ワインの数はイタリア最大で、トスカーナ州とともにイタリアワインの2大生産地となっています。各種ジビエの食習慣のあるこの地方では、多くのイタリアワインが軽めの味わいになっている中で、どちらかと言えばフランスに近い長期熟成に耐える、アルコール度数が高く、しっかりした渋みとこくのあるワインを作っています。
 
 バローロ、バルバレスコのワイナリーは→こちらから
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ヴェネト州(州都ヴェネチア)

 水の都と呼ばれる州都ヴェネチアがあるヴェネト州では魚介料理にあう白ワインの産地として有名です。イタリアを代表する辛口の白ワイン・ソアーヴェもこの地域で生産されています。また発泡性白ワインのプロセッコは、タンク内二次発酵によって造られるのでシャンパン製法で造ったものに比べ、ブドウ由来の果実のアロマとフレッシュ感が楽しめます。この他にワインの絞りかすを蒸留して作られるイタリアではポピュラーな食後酒グラッパがヴェネチア近郊で作られています。

エミリア・ロマーニャ州(州都ボローニャ)

 モデナを中心としたエミリア地方で2000年以上前から栽培されていたランブルスコ種から作られる伝統のある弱発泡性の赤ワイン・ランブルスコで知られています。ランブルスコはタンニンをあまり含まない若飲みタイプのワインで、酸味ときめ細かい泡が口の中の脂分を流してくれることから、脂っこい肉料理や濃いめの料理に良く合います。
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ウンブリア州(州都ペルージャ)

 イタリア半島のほぼ中央部に位置し、内陸部の丘陵地帯からなる州。ローマ時代より前に栄えたエトルリア人を起源とする街が点在しており、ウンブリア州のワイン造りはこの古代エトルリア時代まで遡ります。エトルリア起源の街であるオルヴィエートは、ウンブリア州で最も古いワインの生産地です。この街の名前を冠したオルヴィエートは、イタリアを代表する白ワインで、上品な花の香りを含んでおり、辛口から甘口のワインまでバリエーションが豊富となっています。

ラッチオ州(州都ローマ)

 ローマ東南の近郊に「カステッリ・ロマーニ」と総称される小さな町が七つあって、「ローマのワイン貯蔵庫」と別名を持つほど、ワイン生産が盛んです。肥沃な火山灰土壌を利用したブドウ造りが盛んで、古くからローマ人に親しまれていました。ローマ帝国滅亡後、ブドウ畑は荒れてしまいましたが、中世になって復活して現在にまで至っています。カステッリ・ロマーニのワインのうち、フラスカーティという街の名前がワインの銘柄となっているフラスカーティワインはイタリア有数の白ワインとして良く知られています。主な銘柄はFrascati、Marino、Genzano、Fontana di Papaなどで、口当たりの軽い白が特徴です。
 
 フラスカーティワインは→こちらから

シチリア州(州都パレルモ)

 典型的な地中海気候の土地柄で、夏のシーズンにはサハラ砂漠から「シロッコ」と呼ばれる砂埃を含んだ南風で高温になることがあります。イタリアで最も古くからワイン造りが行われ、生産量もイタリアでトップクラスです。しかしその多くはブレンド用のバルクワインとして売られており、2005年までDOCGに指定されたワインはありませんでした。高品質なワインが生産されている反面、商業化が進んでいないため、安くて質の良いテーブルワイン(VdT)が多いと言われています。
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