中南米原産のカカオがヨーロッパに持ち込まれたのは、コロンブスのアメリカ大陸発見後で、16世紀後半のことです。イタリアにはサヴォイア家のエマヌエーレ フィリベルトへの貢物として入ってきたので、今でも彼が当時住んでいたトリノの町がヨーロッパのチョコレートの中心地と言われる由縁です。トリノの一番重要な広場には彼の騎馬像がたっています。

カカオは、当初は貴族の間で飲み物として楽しまれていました。今のような固形物、チョコレートが生まれたのも、実はこのトリノの町です。19世紀初めのことになります。当時、最新技術を備え、チョコレートを製造していた会社にやってきたスイス人がその技術を自国に持ち帰り、チョコレートを生産し始めたため、チョコレートはスイス生まれという印象がありますが、、、、、、、
ナポレオンがカカオの輸入に圧力をかけた19世紀、トリノの人々が地元でふんだんに採れるへーゼルナッツをトーストしてカカオの代用として使ったのが“ジャンドゥイオッティ”と呼ばれるものです。

最近イタリアではチョコレートブームが巻き起こっています。大量生産のチョコレートではなく、小規模な作り手のこだわりのチョコレートが脚光を浴びています。有名シェフたちが、そのビターチョコレートを隠し味として作ったソースや、カカオ入りのパスタで、よりクリエイティブな料理を作り上げていますし、今まではラム酒以外にはマリアージュが不可能といわれたチョコレートと、イタリアの各地のワインを合わせるというセミナーまで催されています。春先にはトリノでチョコレート祭りも開催されています。

さらにイタリアでは品質の高いビターチョコレートを使った料理(デザートではなく)が脚光を浴びています。昨年はミラノの五つ星のホテル“Principe di Savoia”でカカオを使ったお料理の特集が3週間ほど開催されました。女性シェフの手による“生牡蠣とチョコレート風味の薄いパンケーキ”、“フィレ肉にチョコレート風味のソースを添えて”などが、大好評をでした。また、チョコレートという120種のレシピを載せた本がイタリアのGribaudo社から販売される等イタリアのチョコレートはいわばブ−ムとなっております。