イタリアのD.O.P.(Denominazione di Origine Protetta)食材の内容

 
 イタリアのD.O.P.(Denominazione di Origine Protetta)はEU法に準拠したイタリア国内の原産地名称保護制度のことです。対象となる食品としては、チーズ、ハム、ソーセージ、オリーブ、ビール、パン、果物、野菜などとなっています。D.O.P.に指定された食品は地域特有の品質のすぐれた美味しい製品であることを示しています。言ってみれば同一食材の中で、品質の保証された優れた食品を意味します。
 
 在日イタリア大使館貿易促進部「イーチェ・イタリア貿易促進機構」によるとイタリアはEUで最もDOP(保護原産地呼称)食材の多い国です。2013年6月現在、155点のDOP(保護原産地呼称)、97点のIGP(保護地理表示)、合計252点の製品が登録されています。このイタリアの認定特産品のうち34点のDOP、66点のIGPの合計100点、約40%のものが「青果・穀物」の分類となっています。ちなみに以下「チーズ」18%、「オリーブオイル」17%、「サルーミ(塩漬け食肉加工品)」が15%、「その他」10%の割合となっています。


D.O.P.に登録されたチーズ

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 イタリアのナチュラルチーズは、乳、凝乳酵素、塩のみを 原料とするものと規定されています。イタリアには400種類以上のチーズがありますが、2013年6月現在、そのうち45点がDOPとして登録されています。この中には日本でも良く知られている牛乳を原料とした超硬質のハードチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)も含まれています。
 
 チーズの原料となる乳は、牛、羊、山羊、水牛から搾乳されます。単一の乳たけてなく、フレンドして使われることもあります。北部イタリアでは牛乳を原料とするチーズが一般的です。中南部ではヘコリーノと呼はれる羊乳のチーズがよく生産されます。また、山間部では山羊乳からチーズが作られます。また水牛は搾乳量か少ないので、その乳で作られるチーズは高級品です。ナポリピッツァで不可欠のカンパーニャ州のモッツァレッラがよく知られています。
 ちなみにD.O.P.に登録された45点のうち牛乳が29点、羊乳が12点、山羊乳と水牛乳がそれぞれ2点と、牛乳以外のチーズも羊乳を中心に幅広く利用されています。
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D.O.P.に登録されたオリーブオイル

 D.O.P.に登録されたオリーブオイルはすべて「エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル」です。オリーブオイルの中でも特に香りや味わいに優れ、酸度が0.8%以下の最高品質のものです。枝から直接収穫したオリーブ果実から、化学的な処理は一切行わず、圧搾や遠心分離といった方法で油を抽出しただけの、いわばオリーブ果実のフレッシュジュースです。
 
 イタリアの食卓には欠かせないエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルは、加熱調理には用いず、サラダに調味料として、また料理の仕上げとしてパスタやスープ、 肉や魚にかけていただくことで、その風味を楽しみ、料理を引き立てることができます。フルーティ、デリケートなものからぴりっと辛味のあるものまで、産地と品種による風味の違いはとても興味深いものです。
 
 2013年6月現在で42点がDOPとして登録されています。このうちそれぞれ5点の登録がされているのが、シチリア州、プーリア州、カンパーニャ州です(その他の州は4点以下)。この登録件数の傾向からも、紀元前からオリーブオイルの生産が行われているイタリア南部地域が良質なオリーブオイルの主要産地であることが分かります。
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D.O.P.に登録されたサルーミ

 サルーミとは、塩漬けにして自然乾燥や燻製を行った食肉加工品全般を指すイタリア語で、塩を意味するサーレという言葉に由来しています。その歴史は 古く、古代ローマ時代に遡ります。豚の飼育に始まり、部位の選択、切り分けの寸法、挽き方、使用する香辛料、熟成方法などの技術のみならず、その地方の自然環境までが製品の特性に影響しています。
 
 D.O.P.に登録されたサルーミは21点です。このうち17点がトスカーナ州以北の山岳地域です。やはり保存食品として需要の大きい山岳地帯で工夫されたものといえます。登録件数が最も多いのがパルマ産のプロシュート(生ハム)で世界的に知られているエミリア・ロマーニャ州で6点が登録されています。
 
 また種別では豚のもも肉を使ったプロシュート(生ハム)が7点と最も多くなっています。プロシュートは白ワインとともにいただくのが一般的ですが、赤ワインに合うトスカーナ産プロシュートもあります。サルーミは薄くスライスして前菜でワインとともにいただくのが基本です。その他、サルーミにはパンに挟んだりするカラブリア産カポコッロや、料理でも使うパンチェッタやサルシッチャ(イタリアソーセージ)もあります。
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D.O.P.に登録された青果・穀物・その他の食材

 イタリアではその地方でしか見られない野菜や果実があり、永年の農民の努力によって維持改良が図られてきました。またイタリア料理に不可欠なトマトソースを作るのに使われるサン・マルツァーノのトマトのように、長きにわたる土壌改良、技術改良のおかげで、世界中に知られる作物があります。イタリアの青果は食物検疫の関係で持込みが制限されており、日本ではあまり見かけることはありませんが、このような作物が豊かなイタリアの食文化を担っています。
 
 D.O.P.に登録された青果は32点です。そのうち野菜が13点、果物が6点、栗5点、食用のオリーブが3点などとなっています。一つの作物としては、トスカーナ州を中心とした栗が最も多く登録されており、トスカーナでは栗が親しまれていることが分かります。
 
 野菜ではジェノベーゼソースのもととなるジェノバ産のバジリコが登録されています。イタリア料理に欠かせないトマトソースは、サンマルツァーノ種のトマトで作られていることが日本でも知られていますが、ナポリ地方で栽培されているアグロ・サルネーゼ・ノチェリーノ産のサンマルツァーノ種トマトはD.O.P.に登録されています。果物としてはシチリアのリーベラ産のオレンジや、エトナ産のサクランボが登録されています。シチリアの特産品のピスタチオもブロンテ産のピスタチオが登録されています。
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 穀物としては、イタリアの伝統的米の品種であるピエモンテ州のバラッジャ米と、タルト生地やサンドイッチ用パン、フォカッチャの材料として利用されるウンブリア州のスペルト小麦が登録されています。
 
 その他の食材としては、上記の分類に含まれていない食肉や魚、パンや蜂蜜、バルサミコ酢、サフランなどが登録されています。食肉ではエトルリア時代から飼育されてきた古代種チンタ・セネーゼ豚が登録されており、トスカーナ地方のグルメ豚ということで人気を呼んでいます。またサフランで登録されているサンジミニャーノ産のサフランは色が濃く出ることと香りが強いことが特徴です。
 
 バルサミコ酢として有名なのは最低12年以上の熟成期間を設けたモデナ産伝統的バルサミコ酢です。熟成したものは光沢のある濃い茶色で、シロップのような粘り気があり甘味を増しています。料理の風味付けをする最高級の逸品としてイタリアはおろか世界中で知られています。
*資料提供「イーチェ・イタリア貿易促進機構」