Cucina Italiana
クチーナ・イタリアーナ(イタリアの台所)
第18号
「イタリアのレストラン事情/
人気店ローマのペラゴラのメニュー」
はじめに
日本と同様、イタリアでもテレビのグルメ番組「master chef」が大人気です。弊社でも料理の翻訳サービスをしているのですが、名前だけでは判らない料理があって、四苦八苦しています。料理やお店ではなく、シェフの名前が出てきます。例えばローマの人気店Ristorante "La Pergola"は、イタリア料理ではなくハインツ・ベック・シェフの料理となります。
その一方で、昔ながらの伝統店が、閑古鳥となっていたりします。第18回は、イタリアの料理のトレンド、コース料理、日本との相違と言った側面から、イタリアのレストラン事情を紹介するとともに、ハインツ・ベックさんの料理を楽しめる、ミシェラン3つ星のRistorante "La Pergola"の2015秋冬のメニューを紹介します。イタリアを訪問された時の参考として下さい。
協力者の紹介と1号から10号の刊行内容
→http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish.html
11号から20号の刊行予定
→http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish2.html
イタリアのレストラン事情
イタリア料理のトレンド
ここ20年位でイタリアの高級レストランの料理内容が変わっています。昔は高級レストランといえども、その地方の伝統料理がメインでした。それが京都の精進料理をフランス料理に応用したのが始まりというヌーベル・キュイジーヌ式になり、オリジナル料理+見た目の美しさを追求しています。そうはいっても、食材の豊かなイタリアでは、昔から続く素材の味を活かす調理法が生きており、イタリア料理の新しいトレンドになっています。
シェフをメインにしたオリジナルの料理が多くなっているのがミェランの星付きレストランの傾向と言われています。この傾向を反映して、ミシェランの星付きレストランが、イタリアでは、増加しています。以前、5軒であった3つ星レストランも8軒となり、都会なら1つ星レストランはどの街にでもあるようになりました。
伝統料理が廃れて行くのには、グローバル化だとの意見のある人もいるのですが、イタリアでもシェフのオリジナル料理が歓迎される傾向があり、シェフがこの流れに追随しているのが現状です。
イタリアの評判の良いレストラン
→http://www.ivc-net.co.jp/restaurant/index.html
イタリアのレストラン事情
イタリア料理のコース
フランス料理の、コース料理(前菜、スープ、魚料理、肉料理、デザート)と、料理の概念やお皿の分類が異なっていますので、注意ください。
<アンティパスト (antipasto)・前菜>
前菜を意味するハムやチーズ、燻製、カルパッチョなどのシンプルでいてお腹がいっぱいにならない、食欲をそそるためのスターター料理で、プリモ・ピアット(第一皿)が出るまでの間つなぎの軽い食事です。
<プリモ・ピアット (primo piatto)・第一皿>
最初のメインディッシュ。パスタ、リゾット、ポレンタ、スープなどが分類される。どちらかというと炭水化物系の料理。ここでパスタやリゾットを頼むと、日本人にとっては分量が多すぎるという声も良く聞きます。
<セコンド・ピアット (secondo piatto)・第二皿>
2番目のメインディッシュ。食事のハイライトとなる料理です。魚料理と肉料理の二種類に分類されるタンパク質系の料理です。フランスでは肉と魚がコース料理では別になりますが、イタリアでは一緒となります。
<ドルチェ (dolce)・甘いもの>
デザートを意味します。果物やケーキ、チーズがデザートとして出されます。
イタリアのレストラン事情
日本との相違点
日本と異なった"常識"がありますので、イタリアでレストランを利用される時は以下をご参照ください。
<開店時間>
イタリアのランチは1時から、ディナーは8時からが普通で、この時間に合わせて、レストランが開店します。そのぶん閉店時間が遅くなり、昼は3時過ぎ、夜は11時頃まで営業しています。
<予約>
本号で掲載したLa Pergolaといった超人気店は別として、大体1ヶ月前位からを目処に予約されることをお勧めします。最近はメールでも確認してもらえるようになっていますが、電話予約が基本だった頃は、数ヶ月前に予約を入れて、忘れられてしまったことがあります。イタリアらしい話ですが、クレームをつけたら、そんな前に予約するのが非常識と逆に叱られてしまいました。
ただし最近1週間を切ると、予約が取れないケースが多くなってきているので、注意が必要です。
<ホリデー>
国民のお祝いの日や、休暇期間は休むことが多いです。お休みは、レストランの従業員も享受しています。ですので、クリスマスや1月1日、イースター等の祝日や夏のバカンス期間は、お休みになるレストランが多いです。しかも通常ネットには掲載していません。ホテルのレストランですら休むところがありますので、事前リサーチが必要です。
ちなみに今回メニューを掲載した"La Pergola"は2016年は8月7日から29日まで夏のバカンスでお休みとなります。
<シーフード>
イタリアでは日本と異なりシーフードは高級料理です。肉料理より高いのが一般的です。しかも新鮮な魚介類は一部の高級店を除き、漁港近くのシーフードレストランでないと味わえません。よく日本のお客様から「ローマ市内で手頃なシーフードが食べられる手頃な店を紹介して欲しい」とのリクエストをいただくのですが、これは非常にハードルが高いリクエストです。
ローマで手頃で新鮮なシーフードを食べたいと思う地元の人たちは、わざわざ車を使って、漁港のあるフィウミチーノやアンツィオまで出かけています。
<おいしいレストランは郊外>
イタリアでは一人50ユーロはする外食は、一般の庶民に取ってたまの贅沢です。外食を楽しむために、わざわざ郊外の手頃でおいしいレストランを巡ります。
また、三つ星レストランの場所がローマのペラゴラとフィレンツェのエノテカ・ピンキオーリを除くとみんな郊外にあります。ヨーロッパの各国でも一般的ですが、イタリアでもおいしいレストランは郊外とお考えください。
<大晦日のチェノーネ>
チェノーネとはイタリアで大晦日にする夕食会のことです。大体、9時頃から始まり、カウントダウンして新年になりスプマンテ(シャンペン)で乾杯するまで続きます。街中はお祭り騒ぎになり、新年を祝う花火が打ち上げられます。ホテルのレストランも含めて、どのレストランも料金の高い特別メニュー(コース料理)を用意し予約制となります。チェノーネのメニューはたっぷりで日本人には向きません。この日はレストランで普通の食事は出来ないので、あらかじめ夕食をどうするか決めないと、旅行者は夕食がとれなくなります。
Il Posto Accanto di Rosolinoの大晦日料理(チェノーネ)メニュー
→http://www.ivc-net.co.jp/restaurant/menu/rosolino.html
人気店ローマの3つ星のRistorante "La Pergola"の2015秋のメニュー
ローマの3つ星のRistorante "La Pergola"は、ドイツ人シェフハインツ・ベックさんの料理を楽しめる人気店です。
普通レストランの予約をするのは1ヶ月前で十分なのですが、ここに限っては3ヶ月前には予約しないと予約した方が良いところです。超高級なのですが、予約はお早めに。
<アンティパスト (antipasto)・前菜>
海老のタルタルソース、ヤシとライムのクリーム 47ユーロ
カンパチの柚子とレモングラスのマリネ、マカロン添え 39ユーロ
マグロのツナソース 45ユーロ
フォアグラの梨と胡桃クリーム床 45ユーロ
仔牛のペッパークリーム焼き 45ユーロ
キャビアとハーブの牛肉包み
<プリモ・ピアット (primo piatto)・第一皿>
栗のクリームとキノコとフォアグラ 42ユーロ
かぼちゃの花のフライ、海老とサフランとキャビア添え 69ユーロ
ペルゴラ包み 45ユーロ
全粒小麦のマカロニと赤エビ、ナスの燻製トーストパン 49ユーロ
鮭、ズッキーニ、ピーマンのスパゲッティ 46ユーロ
サフランとの海の幸のリゾット 49ユーロ
<セコンド・ピアット (secondo piatto)・第二皿>
エビ類とマトウダイ 59ユーロ
カレイのフィレの野菜煮床 55ユーロ
スズキのカンゾウ、トマト、オリーブ、コーヒー風味 53ユーロ
仔牛肉のマリネ 55ユーロ
牛のフィレ肉の大豆かけ、ニンニクとわさびのピュレ 55ユーロ
鳩の胸肉 57ユーロ
<チーズ>
トレーでサービス 25ユーロ。
"La Pergola"の秋のテイスティンクメニュー
海老の柚子とレモングラスのマリネ
貝柱の燻製 ビート包み
マグロのツナソース
アヒルのトルテッリーニの松葉とポルチーニキノコの蒸し煮
豆床の鱈、凍ったパセリの振りかけ
子牛スネ肉の煮込み
仔牛の頬肉の狩人風、野菜添え
チーズ各種
デザート
全9皿 220ユーロ
「子牛スネ肉の煮込み」と「チーズ各種」を除いた7皿 195ユーロ
"La Pergola"のURL
→http://www.romecavalieri.com/lapergola.php
イタリアの評判の良いレストラン
→http://www.ivc-net.co.jp/restaurant/index.html
次回予告
次回はヴェネチアのミシェラン1つ星レストラン、ホテル・メトロポールのメインダイニングMETのイタリア伝統料理のメニューの紹介を致します。
協力者の紹介と1号から10号の刊行内容
→http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish.html
11号から20号の刊行予定
→http://www.ivc-net.co.jp/food/mailmaga/2016/publish2.html
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